日本への指図

「米政府には日本への指図をやめるよう求め」って、これまで指図してきた、ということでしょうか。

アメリカが、特別の配慮をしなくても日本は言うことを聞く、と思ってきたことが間違いだったかもしれません。良好な日米関係というのが、日本が黙って言うことを聞くという意味だったならば、快適なのはアメリカだけで、日本はストレスを貯めてきたことになりますからね。

自分で国土を防衛していないのが日本の負い目だったわけですから、アメリカの圧力と言うのも、本来は、言うことを聞かないと米軍を撤退するぞ、というのでよかったはずです。でも、そんなこと一言も言いませんでした。

やはり冷戦終結が大きいんでしょうか。

元々、アメリカは日本を半占領状態で管理しておきたかった。しかし、遠国での大軍の駐留には膨大な経費がかかる。ところが日本が経費を負担してくれると言う。こんなおいしい話はない。

一方、日本は、強大な共産圏からの軍事圧力と、国内の社会主義的反体制運動に抗して資本主義を維持するには、米国の強権が必要だった。だから日米安保による米軍の長期駐留を歓迎した。いわゆる「番犬様」(椎名悦三郎?)というやつです。

ところが共産圏が崩壊して、中国も事実上資本主義化した。もちろん中国には政治的自由がなく、軍事的にも脅威だが、日本の企業は大挙して中国市場に殺到している。中国を単純に敵とみなすことは最早できない。

そもそも、総理の父、鳩山一郎は、アメリカの仲介を受けず中ソと独自の関係を作ったのが売りなんですから、息子は強く意識しているでしょうね。

そもそも、現代において戦争とはオフパスで起こることであって、防衛と言うのはすべて仮定の上の話でしかない。一方、オンパスで何をするかは情勢によって異なる。冷戦時代には、オンパスでは関係を遮断するだけで、あとは何も考える必要がなかった。しかし、今はひたすら経済的関係を緊密化していく流れである。こうなると、オフパスの戦争とオンパスの関係強化の両立が難しくなる。

私にも「嫌中」の友達がいますが、かれこれ何年も、彼はいずれ中国経済は崩壊する、と言っています。しかし、いっこうにそうならない。彼は、オンパスをオフパスに一致させたいと願望しているわけですが、実際には、その反対が起こりそうです。

興味深いことに、中国からの留学生も同じようなことを言う。中国経済はいずれ破綻する、と。やはり格差の拡大や環境汚染など、国土が変貌していく感じが目に見えるからでしょうね。

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http://www.asahi.com/international/update/1113/TKY200911130208.html

【ワシントン=立野純二】12日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、翌日からのオバマ大統領の訪日を前に、「90年代の貿易戦争以降、最も対立的な両国関係」と解説する記事を掲載した。基地問題をめぐる沖縄県民の不満の高まりも紹介し、日米関係が「不確実な新時代に入ろうとしている」と報じた。

 背景として、米軍普天間飛行場の移転問題などを挙げたほか、9月の米ピッツバーグでのG20首脳会議の際、鳩山首相夫妻が夕食会に遅れてオバマ夫妻を待たせたなどとも指摘。ゲーツ国防長官が10月の訪日の際に圧力をかけたことも事態をこじらせたとした。

 一方、同日付のワシントン・ポスト紙は、米外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員の論文を掲載。米政府には日本への指図をやめるよう、日本には前向きな課題に取り組むよう求め、今回の訪日で未来志向の協議を始めるよう提唱した。