大阪都構想でシンポジウム

私は私は東京都出身ですが、心情的には、大阪都構想には同情するところもあるのですよ。強大な大阪都を構築して「大坂夏の陣」以来の江戸に対する大阪の積年の恨みをはらすというならね。

しかし、技術的にはいろいろ問題あるようですね。強大な勢力で対抗どころか、まとめて政府の世話になる気か。

歴史のたとえを変えれば、橋本=信長に、自由都市であった堺などの商業都市が併合されるようなもので、大阪市民はもっと反対してもいい気もするが。

東京特別区では、むしろ都から独立しようという動きがあるそうじゃないですか。

ここに参加者による丁寧なメモが。

http://ameblo.jp/shishinoko/entry-10797930933.html

大森弥はけっこう問題発言だぞ。

<・汚くてアホな大阪には近づかないの信条。大阪都はおやめになったほうが良い、ろくなもんじゃないがご自由にどうぞ。あの知事に70%もの支持を与えている。やっぱりアホだと言うしかない。

東京市は、戦時体制下で東京府に攻め込まれ、財源・権限を召し上げられ、23区になった。23区は東京都から独立したい。私は東京都を廃止しなさいと言っている。廃止しようといているのに大阪では都を作ろうとしている。

・東京都は23区と協議しながら行政を行っている。指揮官一本なんてあり得ない。石原都知事はそう見せているだけ。

・都政は常に不安定。毎年、都と23区は大ゲンカしている。美味しい財源は全て都税だから。
・私は特別区側に立ち、戦時体制である中央集権を終わらせる為に戦っている。
・東京とは基礎自治体を包んだ広域行政体だから不安定。>

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http://mainichi.jp/area/osaka/news/20110212ddlk27040188000c.html

<大森彌東大名誉教授や森裕之立命館大教授らがシンポジストとして参加。大森氏は、都構想では広域行政を1人の指揮官(都知事)が担うことで迅速な意思決定ができる、としている点について「司令塔を一本にしても(大阪全体を)仕切るということはありえない。東京では、都と特別区が対等の立場で協議して(事務、財源配分を)決めている」と指摘。「(東京都の)特別区が都制度の廃止を目指している中で、大阪で作ろうとするのは時代錯誤だ」と批判した。森氏は東京と比較して大阪の財政状況が厳しい点に触れ、「大阪都の中の特別区では、財政危機が進む可能性がある」などと疑問を呈した。>

http://d.hatena.ne.jp/hiroharablog/20110212/1297474421

<名古屋トリプル選挙の衝撃がまだ冷めない2月11日、大阪で「大阪都構想を越えて―問われる日本の民主主義と地方自治―」と題するシンポジウムが開かれた。(社)大阪自治体問題研究所主催のこのシンポジウムは、東西の地方自治碩学6人が「橋下大阪都構想」の本質を縦横に語り合うもので、久し振りに熱気にあふれた集会となった。

 東西の碩学とは、東京の柴田徳衛(東京経済大名誉教授、美濃部時代の東京都企画調整局長)、大森彌(東大名誉教授、小泉時代地方分権推進委員会専門委員)、大阪の宮本憲一(大阪市大名誉教授)、加茂利男(大阪市大都市研究プラザ所長)、木村収(元大阪市財政局長、経済局長)などの各氏で、いずれも地方自治研究の重鎮であり、とりわけ大都市行政の理論と実際を究めた錚々たる顔ぶれだ。

 各氏の発言の詳しい内容は別の機会に譲るとして、結論から言うと、橋下大阪都構想は「大阪市を解体して大阪府に行財政権限を集中させる集権的地方自治再編構想」に他ならないというものだ。それはまた、戦時中に大東亜共栄圏の「首都」たるべく、時の軍事政権が東京府東京市を強制合併してつくった「東京都のコピー」でしかない。

 また、橋下大阪都構想は文字通り“構想”の域を出ないものであって、その詳しい内容は橋下氏本人からも明らかにされない(できない)ような代物であることも数々の側面から暴露された。大阪都構想の実現のためには、関係自治体の同意はもとより地方自治法の改正が必要であり、また税収不足で国の地方交付税に依存している大阪府と府下自治体の間では、大阪都への移行にともなって地方交付税大阪府に一元的に吸い上げられる危険性も指摘された。

 いずれの発言も「その通り」で、知れば知るほど橋下構想の“胡散臭さ”と“いい加減さ”は度を増すばかりだ。橋下構想は世にいう[妄想]の類であり、よく言っても「幻想」の域を出るものではない。だが、問題はそこで終わらないことが実は大問題なのである。学者だけの研究会や学会であれば、このシンポジウムで「勝負あった」ということになる。しかし橋下地域政党の「大阪維新の会」が大阪都構想統一地方選挙マニフェストに掲げている以上、勝負は選挙でしか決着はつけられない。>