日本国民は財政破綻を望んでいる!?

hamachan経由ですが。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-c61a.html

朝生も、小黒一正呼ぶなら、こういうことを言わせるべきだったでしょう。

新古典派マクロ経済学では、政府支出を所与とすれば、それを税金で調達しても国債で調達してもどちらでも同じことです(リカードの中立命題)。国債というのは将来の増税にすぎません。したがって、真の対立は「増税か政府支出の削減か」ということになします。

しかし、これはあくまでも将来的に予算制約式が守られるという前提の上の話。政府が借金を踏み倒す、という解決策も実際には存在する。ギリシャみたいなやつ。実はわが国民もホンネではこれを望んでいるのではないか。

(正確に言えば、追加的な借金が可能となるように、強制的に支出カットとなる解決策です。しかし、救済スキームでは必ず一部債務不履行が起こるのが普通。)

だって、国債が暴落すれば、政府の予算は組めなくなり、強制的に政府支出の削減が起こる。もちろん、公務員の給与は大幅カットで国民は大喜び。

国立大学の授業料は大幅引き上げ。私学助成金もカット。生活保護費で生活困窮者を救う余裕なんてもはや政府にない。これだけで十分悲惨だが、しょせん国民の一部が困る話だ。

ところが、それだけではすみません。まず年金の国庫負担分はゼロになるでしょう。国債の危機が起こる前には、当然、年金基金は枯渇しているだろうから、年金額の大幅カットが実施されるはずだ。

同時に、医療費の国庫負担もおそらくゼロとなる。窓口負担が跳ね上がり、医者に行けない国民が増えるでしょう。

話はまだ終わらない。これはギリシャに比べて日本が恵まれている話でもあるけれど、大幅に円安になる。その結果、原油価格や穀物価格が急騰し、一般消費者物価は大きく上がる。石油を大量に使う産業は悲鳴を上げるでしょう。

ギリシャに比べて恵まれているというのは、円安で輸出産業がもうかるようになるから。ユーロ圏に縛られているギリシャではこの恩恵が得られない。

何はともあれ、今のように「まずムダ撲滅」とか「向こう3年間はデフレ脱却集中期間(前原)」とか呑気なことを言っていると、いつかこういうことになる。

ただ、日本が経常収支黒字国である間は、こういう危機は起こらないでしょう。おそらく、まだ10年、20年は今のままで行けるかもしれない。

欧米で経済危機が起こるたびに円高になっているけれど、それほど恐れる必要はないかも。だって、円高で安い価格で海外資産を購入でき、これが将来的に所得を日本にもたらすから。

しかし、財政危機は、気づいた時には手遅れなんです。年金カット、医療費カット、インフレで解決するしかなくなるんです。

原発事故みたいなもので、実際にそうなる前は誰も危機感を持たないから、政治家も抜本的解決より先送りを選択するのですね。

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http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110829/222303/?top_updt&rt=nocnt

<政治の世界では「増税」vs「反増税」という対立軸が話題になることが多い。だが、これは本当の対立軸ではない。歳出の約半分に及ぶ財政赤字や、公的債務(対GDP)がもはや200%に達しつつある日本の財政状況を踏まえれば、本当の対立軸は「増税」vs「歳出削減」である。

 このため、政治が歳出削減を重視する場合、社会保障予算の削減から逃避することは許されない。現状の財政・社会保障は持続可能でない。特に、社会保障予算は毎年1兆円以上のスピードで膨張している。経済学に「ノー・フリーランチ(ただ飯はない)」という言葉がある。何らかの便益を受けている経済社会が、そのコストを支払わない状況は基本的に維持できない。

 つまり、「反増税」とは「社会保障の削減」を意味するはずである。「反増税」の立場に立つにもかかわらず、社会保障費の削減を主張しない政治は無責任である(当然、増税と歳出削減の両者を進める選択もある)。

 社会保障の削減を主張する政治家や政党は少ない。唯一の例外は、聖域なき構造改革を謳い、年金・医療などの抑制を試みた小泉政権であろうか。だが、その抑制も「削減」には及ばなかった。毎年1兆円のスピードで膨張する社会保障予算を0.2兆円減らし、その伸びを0.8兆円程度に抑制したにすぎない。

しかし、この程度の抑制でも、マスメディアや医療関係者を中心に「このままでは医療崩壊を招く」との悲鳴が上がった。 >