量的緩和と為替レート

この方、おそらく筑波大学統計学の先生ですが、いつも愛情にあふれた高橋洋一批判を繰り返しております。

量的緩和の有無で為替レートを(ベースマネーの日米相対比で円高を)説明するのは、大雑把とはいえ、非常にわかりやすい説明ではあります。アカデミックな研究としては、本多祐三先生のがあり、先日の日経学会の金融政策パネルにも出演していた。

これに対する専門家の公然たる批判というのは、大方の経済学者がリフレ派に与していない割には、あまり見あたらないのですよ。先日も、私は農業パネルを見たので、残念ながら本多先生がどう語り、おそらく意見が異なるであろう岩本さんがどう反論したかを、聴くことはできませんでした。

この方も、特に理論的な批判をしているわけではなく、もっぱら統計的な検討をしています。

「マネタリーベース→為替レート」説が、統計のプロならブログで紹介できる簡単な計算で否定できるようなものなら、他のエライ経済学者があまり批判していないように見えるのは、いったいなぜでしょう。

確かに、スイスフランについてはあまり量的案和は効いていないように見える。韓国の繁栄については、軽く「ウォン安政策」という言葉で片づける人が多いわけですが、そんなに簡単に通貨安政策ができるなら、日本もとっくにやっているはず、と思ってしまいます。

(追記)本多さんは新しい記事を書いていますね。

(試練の財政・金融政策)(下)増税と併せ量的緩和
本多佑三 関西大学教授
株価・生産を押し上げ デフレ予想の回避がカギ (1/3ページ)
2011/10/19付 情報元 日本経済新聞 朝刊 3176文字

http://www.nikkei.com/search/article/g=96959996889DE1E7E4EBE6EAE7E2E3EAE3E2E0E2E3E39997EAE2E2E2;DETAIL_STYLE=0;ORD_KIND=kdt_DN;h=1;bu=BFBD9496EABAB5E6B39EBBA8B6B9A285A8A3A696B1B990AB8394B893F9E5B0879DA39CB399E299E585879ABEE7A5E09B82B4B8BFB585EA8A959F8BBAE7B598869FBDE3B1EA99A29CB6E19EE197A495A2BEA09197BC979694B09DB49EB9EBE5E4A186E2A18BABF991E59982A2BA84939ABE989382BEFDA1A39ABEE1A896B688B691E084A5ABA0AAB5B081E384B69193E7A59EE6E6E0A7BD8A96B89199FD8BE5BBBA8BE1A1BB949686E6EB8ABE80A2B39BF998B8E4A6AAA7B6A1B595A2E7B68BBFB6BA9399A7B4E193A4E591B79A8BB0B8E28482B6EAA7BBA585BF9886BBE6BCA8A0B79191979993A88499A499B582B8B894EB80A3EA99E09EEAE595B5E0B984E2BABBBEBE868A9D9CB5A8FD9EA39BA696ABBE95AAA3939BE493BAB6A89DA4A1AAF99482B0BAB583ABE79694E3B7B9B6BDA89CBDB19AB5F98A93BBAABBAB84B5A1EAABB995B784E383E394E4A4A286B8819F96A0A2A488A6A2E6B0A286EB90BEB5919A9886FDB7A4ABB59697EF;bj=2006~2F12~2F03;di=ATCSF11;searchKeyword=~E7~B5~8C~E6~B8~88~E6~95~99~E5~AE~A4~E3~80~80~E7~82~BA~E6~9B~BF;dj=15499c9b68315c60864d02020d2baca5e8619;bi=2011~2F12~2F03

本多さんの1年前の記事は当時紹介しました。

http://blogs.yahoo.co.jp/mazepparrigo/34227602.html

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http://d.hatena.ne.jp/what_a_dude/20110817/p1

<おお、なんということでしょう、洋一が嬉々として「9割説明できる」(キリッ)と言っていた説明力は殆ど全てアメリカのマネタリーベースの変動に吸い取られているではあありませんか!

 日本のマネタリーベースの変動が小さいから、というのも多少効いているでしょうが、それよりは日本がマネタリーベースを縮小した06年辺りに逆に円安が進行しているのが一番効いてると思われます。

日銀テラ無力wwと言いたいところですが、300億フランから2000億フランへとすさまじい量的緩和を行ったスイスフランが、いまだ激しい通貨高に悩まされているところをみると、まぁそんな感じなんじゃないですかね。>