レアカードの知的財産権

これ、経済学的にも面白いね。

なんで金銭的価値が発生しているかというと、要は、ガチャでレアカードをゲットするためにつぎ込む金を考えれば、オクで買った方が安いからでしょう。

経済学者だったら、金銭的価値が発生しているものを「売るな」とはふつう言わないわな。買う方も売る方も、取引利益があるからね。

もちろん、世の中には、売り手買い手、ともに利益があっても禁止した方がよい取引、というのはたくさんある。児童買春、人身売買、臓器売買とかね。ただ、こういうものを禁止する論理は経済学の外にある。だからいつも、経済学者の言うことに従う必要は必ずしもない、と言っているわけ。

とはいえ、この場合、普通にガチャで入手したレアカードなら、転売しても社会的に害があるとまでは言えないでしょう。カードの保有者が変わるだけだから。

問題は、レアカードを簡単に安価で複製できてしまう点。

しかし、複製を禁止する経済学的理由というのは、商品にオリジナリティーがあり、著作権を保護することが後発の創作活動の保護につながるから、というもの。単にマネすることが悪いわけではない。だって、競争相手が参入すれば価格が下がり消費者の利益につながる、といつも言っているのが経済学なんだからさ。

まあ、このビジネス、射幸心をあおり健全な社会生活を破壊するおそれなし、とは言いきれないから、知的財産権のようなもので複製を禁止する、というオモテのアプローチができないのでしょう。

ネット上の店への、客の出入りを禁止するぐらいがせいぜいかな。

射幸心というのは、レアカードをゲットするためにガチャに大金をつぎ込むことでしょう。オクで同じものが少々高いとはいえ落ち着いて手に入るとなれば、射幸心はかえって下がる、とも言える。

規制するにしても、何が悪いのか、はっきりさせてからでないと。今は、複製が悪いのか、転売が悪いのか、射幸心が悪いのか、なんだかわからないで「問題」と言っている感がある。

まあ、海外では、ガチャシステムは違法のようです。これでは日の丸IT産業は国際展開できませんね。

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http://blogos.com/article/33353/

<この理由に、カードの所有権の有無が関わってくるのです。要するに1億円の損害を受けたと主張してしまうと、レアカードには総額1億円相当の価値があったと認めてしまうことになります。これは、300円のガチャシステムで、原価以上の価値のあるものをクジで提供したことになり、明らかに「賭博」に該当します。刑法186条第2項違反。れっきとした刑事犯罪です。

しかも行為が行われたのは、グリーが禁止しているRMT市場です。システム外で行われた行為が、実システムに損害を与えたということは、否定しているはずの所有権がレアカードに発生していることになります。だって所有権がないのなら、取引自体が不可能なんですから。損害を主張すると、実際にはレアカードに所有権が発生していることを認めしまうことになります。所有権のあるものを300円のクジシステムで提供していることになり、これも「賭博」に該当してしまいます。つまり、訴えると薮蛇に自分たちの首を絞めてしまうわけです。 (中略)

結局のところ、日本では法制化が遅れているため、所有権の問題は、全くのグレーです。ちなみに海外では、仮想アイテムの所有権などは認める流れが顕著のようです。日本でも裁判になれば、所有権を認めないという判決は苦しいのではないでしょうか。特に今回の混乱に巻き込まれて、関係ないアイテムが消されてしまった場合、裁判所がアイテムの復活を認めない理由がありません。(中略)

東京ゲームショウ2011のディスカッションで、「自分なら5倍の収益を上げられる」と豪語しているのが、DeNA社の小林ソーシャルゲーム事業本部長です。しかし実際には、モバゲーもグリーも、海外進出では芳しい結果を出せていません。1つは「ガチャシステム」が海外の法律に引っかかること。もう1つは、海外ユーザーは自分の力で打開するゲームに魅力を感じ、ガチャシステムのような運に頼るゲームを敬遠する傾向があるせいです。結局、グリーもDeNA社も、「高収益」を維持するために、日本のガチャシステムをひたすら増やす選択を取っています。>