民主党ガバナンスを回復する方法

この民主党議員のレポは面白い。民主党の特異性をうまく捉えている。

民主党のおかしさは、多数決を採らず、適当なところで議論を切り上げ「執行部一任」とするところにあるのである。

もっとも、「政府がいきなり政策を打ち上げ(TPP、再稼働)、あとから党が気付いて反対せざるを得なくなる」というのは、民主党に始まったことではなく、小泉政権もそうだった。

郵政民営化なんて、自民党の有力議員は誰もまじめに考えたことがなく、事実上、小泉の思いつきでしょう。

あのやり方がたまたま大成功したので、「政治主導」の名の下、今の民主党政権にも受け継がれている。

もちろん、リーダーシップというものは必要である。しかし、リーダーシップは、最低限、党内の多数によって支持されなければならない。それをやらないで、内々だけで決めて党の正式な会議はガス抜き、というようなことをやっているから、「ガバナンスがない」と批判されるのだ。

小泉政権だって、郵政民営化法案について、自民党総務会の「多数決」を採っていたのである。もっとも、それ以前の総務会原則は「全会一致」だったから、これだけで大きな抵抗があったとは思われるけれど。

民主党幹部の意志の弱さもあるのかもしれない。官僚にレクチャーされるとすぐ洗脳されて、コロッとこれまでの主張を変えてしまう。そこから先は「政治主導」でトップダウン、執行部一任、とやっているからいつまでも混乱しているのである。

一つの解釈として、つい最近まで野党暮らしでミカン箱の上で辻説法していたにすぎないのに、政権交代でいきなり権力を手にすると、何をしてよいかわからず、財務省や外務省の官僚が説く事大主義の政策に飛びついてしまうのだろう。

官僚発の政策ではないが、「最低でも県外」「温暖化ガス削減25%」も同じパターン。どちらも素晴らしいことだが、党首の思いつきでいきなり出てきて、いつの間にか内閣の公約になっていた。

これは小沢の責任でもある。当時は、当選3回未満の代議士は政策についてモノを言うなという管制が敷かれていた。

だいたい小沢のやり方はあとで自分の首をしめる場合が多い。執行部の独裁というのはまさに小沢の流儀であり、執行部から排斥された側に回ったら堪えがたいものであるということを、本人は学習しているのだろうか。小選挙区制にしてもまた然り。

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http://blogos.com/article/41957/?axis=g:0

<18日に前原政調会長も出席して東京プリンスホテルで開催された民主党の社保・税合同会議で、より具体的に「党代表選出と同じく、無記名投票で三党合意の是非を諮って、それを元に党議拘束をかけ、それでも造反する者には厳しい処分をする」ことを提案した。相当の方々の賛同を得、19日の2回目の合同会議、20日の両院議員懇談会でも、数多くの同僚議員から一番すっきりした手続きだと賛成意見が相次いだ。

 私の提案は、ずっと手続き問題を指摘して反対し続けてきた同僚議員の胸にストーンと落ちたようだ。そこまできちんとするなら造反とせず、多数決で決められた党の決定には従うというのだ。皆で一緒に行動していくためには、決めるまではいくら議論を重ねても民主的に決めた後は一致団結していくことが当然だからである。もっと言えば、振り上げたこぶしを下ろす途を作ることになる。現に数人の強硬な反対者から、私に直接、両院議員総会での採決の実現要請がきている。また逆に賛成する同僚議員も、すっきりさせるためにも採決し、その代り、造反者には厳しい処分をすべしと、割り切る者もいる。(中略)

自民党は推進論、民主党は反対ばかりの○○会合」
 めったに発言しない田中真紀子さんが、両院議員懇談会でいつもの眞紀子節を炸裂させた。その時に、ふと枕言葉で発言したのが、このサブタイトルである。これは自民党民主党の政府・与党の関係の違いを如実に表している。つまり、自民党は、与党の意見を聞いて政策を実行しているのに対し、民主党は、政府がいきなり政策を打ち上げ(TPP、再稼働)、あとから党が気付いて反対せざるを得なくなるのだ。どちらがまともか明らかである。与党で議論することもなく、政府がやたら暴走しているのであり、民主党の政府・与党の関係がなっていないのだ。>