輿石と小沢の会談

いったい何をやっているんだろうという気がしないでもありません。

ただ、私が小沢の立場なら、こういう交渉をしますね。

「処分は仕方ないが、せいぜい「党員資格停止1カ月」程度まで。それ以上の処分なら、何も約束できない。党に残っても、消費税については今後も反対し続けるが、よろしいか?」

党員資格停止3カ月だと、9月の代表選で投票ができなくなるからダメ、ということです。

ずいぶん虫のよい話ですが、輿石の立場としては、これでもいいでしょう。輿石は小沢系の離党を阻止したいだけですから。問題は野田が受け入れるかどうか。

仮に離党者が40人程度にとどまれば、与党で過半数は維持できます。しかしながら、10席+アルファ程度のマージンでの国会運営には不安が残る。

自公との連携がしっかりしていれば、小沢系がいようといまいと、法案は普通に通るのです。自民党は「造反者を切らないと審議に協力できない」と言うけれど、自民党が欲しいのは解散であり、解散してもらうために結局は協力するであろうことは、野田にもわかる。

「造反者を厳しく処分しないと示しがつかない」という議論ですが、元々、民主党って「示し」のある党かw

「造反しても処分されないとわかったら、参院採決でもっと多くの造反者が出る」というわけですが、そもそも、議員が恐れる「処分」とは何か?

「次の選挙で公認されない」というのが、議員がおそれる処分ではないですか。

おそらく、法案が通る限りは、このおそろしい処分を野田が下すことはないような気がします。彼の芸風からして。

郵政解散の時は、政治生命をかけた法律がいったん否決されたので、「非公認の上、刺客を立てる」という処分が当然のように思われた。

今回は、法案が通っているので、なかなかそういう厳しいエネルギーが湧いてこないのでしょう。

幹事長というのは、本来、執行部の方針が全党に浸透するように調整するのが仕事ですが、輿石の場合、執行部の方針はどうでもよくて、党内融和のみ図っている気がします。

そんな輿石を、野田がなぜ許容しているかというと、やはり手荒なことはしない、というのが野田の性格なんだろう、と思います。

もっとも、私が野田なら、小沢と同じ投票行動をした40数名を「除名」、鳩山や川内は「党員資格停止3カ月」、欠席・棄権は「党員資格停止1カ月」とするように、輿石に指示しますけれど。鳩山や川内まで厳しく処分しないのは、そうすると過半数を割ってしまうからです。

消費税法案を確実に通すためには、「造反したら公認しないし、刺客を立てる」という見せしめをあらかじめ作っておかなければなりません。

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http://www.asahi.com/politics/update/0628/TKY201206280432.html

民主党小沢一郎元代表は28日、国会内で輿石東幹事長と会談し、参院で7月に審議入りする予定の消費増税関連法案について「国民への背信行為であり、ぜひ撤回してほしい」と述べ、法案撤回を輿石氏に求めた。会談後、記者団に明らかにした。

 小沢氏はまた、「参院でも法案が強行採決されれば、民主党の枠を超えて、国民に直接訴えていかなければならない」と強調。そのうえで「私との会談を受け、輿石氏が鋭意努力すると聞いている。その結果にもよるが、また明日にでも会談することになるかもしれない」と述べ、早ければ29日にも輿石氏と再会談する可能性を示した。>