登山と自己責任

私は、山岳遭難については自己責任が原則と考えております。

家族はそう思ってないかもしれないが、おそらく、遭難した本人もそう考えていると思います。

原発事故が起きたら避難しなければならず、農水産物は汚染され風評被害もあるから「脱原発」というのはわかりますよ。自己責任がないのに巻き込まれるわけですから。

登山に絶対安全はありえません。しかし、原発と違って、山は行かなければ済む話です。行政が乗り出して規制強化、供給を制限する必要はない。

高齢者の遭難は山関係者に迷惑をかけると騒ぐ人もいる。「ヤフー知恵袋」あたりでは年中そういう論争をしている。

しかし、登山業界なんてのは、引退して時間のある高齢者がいるから成り立っているようなものです。

高齢者が登山中に倒れて担ぎ込まれれば、確かに山小屋の人は迷惑だ。

しかし、高齢者の入山を制限したら、山小屋なんてほとんど廃業すると思います。

百名山ブームを批判する人も多い。「日本百名山」(深田久弥)のおかげで高齢者が増えた、という批判です。そういう人はだいたい、学生のころから部活やサークルで登山しており、登山界の中ではエリートです。「俺が若い頃は山にこんなに多くの爺婆はいなかった」というわけです。しかし、そういう特別な人たちに山を独占する権利があるわけでもない。

登山エリートがよくする批判のもう一つのパターンは、「百名山人気で事故が増えたので登山道に鎖や人工的な足場が設置されてしまった」というやつ。

ところが、百名山から外されて一番困るのは、地元の山関係者、という構造があるのですよ。

「知恵袋」に寄せられる相談として、「夫(妻)が山に行くのが心配だ。やめさせるにはどうしたらよいか」というのもよくある。こういう、山に興味のない家族のために、登山やツアーを規制しろ、という雰囲気が、マスコミ論調の背後にある。

しかし、そんなの夫婦で相談して解決しろ、と思いますけれどね。行政が乗り出すことではない。

*************************************************

http://mainichi.jp/select/news/20121106k0000m040081000c.html

万里の長城遭難:「天候判断なぜできぬ」家族ら声つまらせ

毎日新聞 2012年11月05日 21時46分(最終更新 11月05日 22時01分)

 「万里の長城10+件」付近でトレッキングを楽しんでいた中高年の日本人旅行者らを、記録的な大雪が襲った。連絡を受けた家族や友人らは、ツアーを楽しみに笑顔で出発した姿を思い浮かべて声を詰まらせ、「ガイドはなぜ天候判断ができなかったのか」と憤った。

 ◇小川さん

 東京都品川区の小川陽子さん(62)の息子で会社員の庸介さん(32)は5日、事故現場の中国へ出発する前に取材に応じた。遭難の一報は同日午前11時ごろの親族からの電話。「ついに来たかと思った」と肩を落とした。

 庸介さんによると、小川さんの登山歴は30年以上。月に1回は山登りに行くほど熱中していた。登山経験は豊富で、アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロタンザニア)への登頂経験もあった。一方、数年前に海外の山でクレバスに落ちそうになるなど、命の危険を感じたことも。「どうせなら山で死にたい」と口にしたこともあったという。庸介さんは「ずっと山に登り続けていれば、いつかはこういうこともあるかもしれないと思っていた」と無念そうに話した。