列島改造論2.0

この人、NHKの若手討論番組に出ていた建築家で、社会学者など内容空疎な脳内お花畑を語る若手と異なり、やはり実学をやっている人は違うと感心した。

要するに、日本の地方を、JR新幹線駅を中心に整備して活性化しようという話である。成功例として、すでに名古屋、博多があり、新幹線はまだ来ていないけれど、札幌もそういう例とのこと。

日本型の都市生活を新幹線インフラと一緒に東南アジア(マレーシア、インドネシア等)に輸出することも、成長戦略として提案している。

NHK番組では、道州制を導入するならJR会社のエリアを単位とすべきと提案していた。これも慧眼と思った。というのも、日本の地方は、交通の不便のため、横の連帯は希薄であり、直接、東京を向いているところが多いからである。

例えば九州であれば、大分、宮崎はそれぞれ、博多から3時間、5時間かかる。電車、自動車いずれでも同じ。しかし、東京には飛行機で2時間で行ける。これに対して、博多から鹿児島は今では1時間半で行くことができ、博多から見て、鹿児島の方が大分、宮崎よりはるかに近い。このように、見た目の距離と時間距離が乖離するのが地方の傾向だ。道州制が機能するためには、地域内の時間距離を短縮しなければならない。

東日本では、すべての県が直接東京を向いており、東京が東日本道の中心になるしかないと思う。今さら仙台に行け、と言われても、誰もそんなのに賛成しない。

というわけで、この人の議論はJRの回し者っぽい感じもあるのだが、実際、もっと新幹線を整備して地域内の一体感を高めないと、誰も道州制なんて望まないというのは事実である。

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http://www.mammo.tv/interview/archives/no306.html

<大規模商業施設でも、ステーションシティのように街の真ん中に核をつくりるようならば意味があります。しかし、ロードサイドショップのように郊外型の商業施設の設置は都市構造の観点からは問題で、水戸や松江、福井などで起きたように、商業施設を拡散していしまい、中心市街地が消えてしまいました。これでは都市経済圏全体を弱めてしまうことにしかなりません。

比べて先述した大阪駅型だとローカルな経済圏を活性化させる働きがあります。その象徴が名古屋駅で、JR東海は社運をかけて名古屋ステーションシティをつくりました。あまりにもうまく成功して、ついには自己負担でリニアを東京まで引くと言い出しました。ステーションシティによって万博を超える動員を行い、自己負担でリニアを建設するとなるとかつての国土計画のイメージからは考えられないことで、鉄道システムが自立型の経済圏を構築する装置になることがわかります。

都市の再編成にあたっては、あくまで従来の都市の構造を維持することが大事なんだと思います。ほんのちょっとしたことで都市のあり方は変わるからです。たとえば水戸では、県庁が移転したことで、人の流れが非常に変わりました。

地方都市では公共施設や病院の位置が地元の商業地に向かう人の流れと密接につながっています。安易にデパートを増床するといって病院を郊外へ出すと地元に人が行かなくなる現象が起きます。

人のフローを見極め、都市の構造を維持する。それに成功したのが札幌や福岡で、街の中心となる場はあくまでひとつです。複数化すると都市全体の経済活動が沈下する例が地方で多いのです。それでも盛岡や金沢、青森など拡散しないようにがんばっているところはあります。

しかし、青森のように市がせっかくがんばって中心市街地を守ろうとしていても、国が新幹線の駅を郊外につくるとか、施策に協力的でない例も見られます。>