東アジア共同体にアメリカが反発

ノーベル賞にしてもカンヌ映画祭にしても、単独行動・武断政治アメリカに、人類的・普遍的価値の付与や権威付けによって対抗しようとするヨーロッパ流の政治だと思います。

アジアに目を転じますと、東アジア共同体アメリカを加えないと発言した岡田外相、
なかなかあっぱれですが、彼の政治生命が危機にさらされるのではないか、とちょっと心配です。
これまでの日本外交とは、お膳立てをして、アメリカ様に真ん中に座っていただいて仕切っていただく、というものでしたからね。

早速アメリカから反発があるようですが、東アジア共同体アメリカを加えないことは、
アメリカの東アジアにおける軍事プレゼンスを低下させるものではありません。
EUにアメリカは入っていないが、NATOという軍事同盟には入っているじゃないですか。

自分が考えた理念を他国に押し付け、言うことをきかないと武力で押さえつける、
なんてことを続けていられるのも、アメリカ以外が経済的に貧しい間のことです。
いずれ経済的に自立した諸国が、アメリカ抜きの独自のローカル秩序を作りだそうと動き出すのは、自然な流れです。

今のグローバル化した世界におけるアメリカは、「中学生のいじめっ子」みたいなものです。
国際社会は、いじめっ子の単独行動にウンザリしているのですよ。

昔、何となく腕力が強く、他の子を抑え付けていた子がいましたが、
修学旅行でグループ行動する班を作りましょう、ということになったら、
どの班も彼を入れようとはしませんでした。
最後は、彼はしぶしぶ頭を下げて、どこかの班に入れてもらってましたが、
それ以来、彼の腕力を恐れる子はいなくなり、彼は単に「浮いている」だけの、
かわいそうな子になってしまいました。

ノーベル平和賞は、「今ならまだ仲間に入れてあげるから、国際協調しようね」
という「クラスみんな」のメッセージですよ。

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http://sankei.jp.msn.com/world/america/091009/amr0910091911007-n1.htm

【ワシントン=山本秀也岡田克也外相が日本外国特派員協会(東京・有楽町)での講演で、「東アジア共同体」の構想対象から米国を排除する方針を示したことについて、米国務省当局者は8日、産経新聞に対し、アジア太平洋地域で米国が果たす「重要な役割」を強調し、地域共同体からの米国排除は受容できないとの考えを示した。

 同当局者は、「米国は成長と安定を促し、地球規模の挑戦への対処を支える地域の基本構成には、強い関心を抱く」と発言。この関心は「米国が域内で果たす重要な役割を反映したものだ」と述べ、在日米軍など米国の軍事プレゼンスが地域の安全保障に果たしている役割を強く示唆した。

 鳩山由紀夫首相が提唱している「東アジア共同体」構想には、地域協力構想のひとつとして、ひとまず静観する姿勢を表明。シンガポールで来月開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合などを通じ、日本を含む域内諸国と緊密な協力をめざす米政府の関与姿勢を打ち出した。

 岡田外相の講演発言を受け、米国務省が報道向けの見解を表明したのはこれが初めて。同外相は、構想の対象国として、「日本、中国、韓国、東南アジア諸国連合ASEAN)、インド、オーストラリア、ニュージーランドの範囲で(構成を)考えたい」と述べ、米国を排除した形で創設を目指すとしていた。