高校生に「大学レベル」の授業?

伊藤先生の日米高等教育比較論の是非はともかく、この事実には問題アリです。

<成績優秀者に大学レベルの授業(AP)を提供し、APレベル科目の優は5点、良は4点とGPA換算の加点がある>

こんなの、高校側のGPA水増しに悪用されそうな気がする。

誰が大学レベルの授業を教え、どう成績をつけるのか、「大学レベル」をどういう基準で線引きするのかなど、わからないことだらけです。

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http://mainichi.jp/select/biz/kansoku/news/20100520ddm008070086000c.html

<前回に続いて、カリフォルニア大学の話。アメリカの高校では優(A)が4点、良(B)が3点として、平均(GPA)を毎学期計算する。GPAで高校生(と両親)は一喜一憂。高いGPAは、カリフォルニア大合格の必要条件だからだ。

 訪問先のカリフォルニア大サンディエゴ校で星岳雄教授から「サンディエゴ校の学部合格者の平均GPAは4・08です」と得意げな説明を受けた。「最高は4・0なのでは?」と質問すると、実は、高校によっては、成績優秀者に大学レベルの授業(AP)を提供し、APレベル科目の優は5点、良は4点とGPA換算の加点があるのだという。優秀な高校生はどんどん伸ばそう、という方針だ。

 次のように単純化して考えると分かりやすい。日本でもアメリカでも、進学校の優秀な生徒は、高校2年終了までに標準的な高校の授業科目は履修済み。高校3年の1年間を、日本では難関大学の入試問題を解く能力を高めることに使う。

 一方、アメリカでは大学レベルの授業を受ける。優秀なだけでなく、さらに難しい科目も習得済みの学生が大学に来る。大学では、学部科目を履修済みであれば、専門科目の履修も早くなる。さらに学部のうちに大学院のレベルの授業を履修できる。このようにアメリカの教育システムは能力のある学生をどんどん伸ばしていく。アメリカでは大学を20歳で卒業とか、博士号を24歳で取得とかも珍しくない。

 日本が「ゆとり教育」で、進度を落として「平等」を目指したことで、アメリカのような若い博士は生まれにくい状況にある。教育は経済成長力の源泉。先端技術の開発が重要な世界で、どちらの経済がより高い成長能力を持つかは明白だ。

毎日新聞 2010年5月20日 東京朝刊>