こんなに日本の株価は安かったの?

有名ブロガー氏経由ですが、岩本さんが「理論的には中央銀行の力は無限」と認めている。

無限の力を持つのにやらないのはなぜかというと、無限の力を行使すればとんでもないことが起こるからだそうです。

でも、現在の東証時価総額の半分を買い上げるというのは、そんなにとんでもない政策には思えません。

だって、たった150兆円で済むのですよ。

日銀がやれないなら、有名ブロガー氏が言うように、政府系ファンドを立ち上げてもよいかも。

(いまいましい)米国債100兆円を売ればあとは新規国債50兆円発行で調達できます。

ただしここで問題なのは、政府が株主になり、民間株主より良い経営ができるかどうかです。

民間に一種の「協調の失敗」(coordination failure)があるなら、政府が株主となることにより、協調を実現し、雇用も企業利益も上向かせることができると、理論的には考えられます。

しかし、実際には政府は企業経営に向いていません。社会主義の失敗は、そういうことです。

だったら「物言わぬ株主」になればいいんじゃないですか。

とはいえ、政府が株を購入する場合に、日銀が協力すれば、かなりインフレ圧力が発生することは確かでしょう。

政府が150兆円国債を発行する場合、小さからぬ部分を日銀が購入すれば、それがマネーサプライの増加につながります。

土居さんの「日銀総裁の給料をインフレターゲットと連動させる」というのは面白いですね。

例えば、ターゲットを2%として、日銀は自由に政策を選べるとする。
実現されたインフレ率が0%だったら、差の2%に例えば20をかけて40%給与削減とする。
オーバーシュートしても同じで、実現インフレ率が4%だったら、差は2%だからやはり40%減額する。

この報酬体系の前提は、ターゲット達成時の報酬をあまり高くし過ぎないことですね。40%減でもかなり高いと、ターゲット達成の十分なインセンティブが生まれないかもしれない。

というより契約論の専門家に、もっと賢い、非線形の報酬表を作ってもらえばよいかもしれません。

いずれにしても「金融政策のことがよくわかっている人間」なら、容易にできるはず、ということですよね。

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http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/33921699.html

<現在,東証上場企業の時価総額は約300兆円である。150兆円あれば,この全企業の半数の株式を取得できる。日銀が150兆円の購入資金を作り出すことは「いともたやすい」。日銀当座預金の数字を増やすだけで,購入代金の支払いができるからだ。日銀がそれだけ株を買うと株価も上がるかもしれない。それによってかりに200兆円必要となるなら,200兆円の資金を作り出すことも,いともたやすい。
 こうして日銀が東証上場全企業の支配株主となったとする。支配株主として全社に商品を毎年1%ずつ値上げしろと命令すれば,1%のインフレが起こる。2%でも,3%でも同じこと。正確には,日銀が指標とする消費者物価指数(CPI)に入らない会社もあるので,株を買う企業を選んだほうがいいかもしれない。
 なぜ東証上場全企業の株を購入するかというと別の思惑がある。この手段をとるなら,インフレだけ起こすのは筋が悪い。最終的には実体経済が良くなることが目的だ。いま日銀は支配株主の力を手に入れたのだから,インフレを経由するという回りくどいことをせず,直接に実体経済に働きかけることができる。そこで,支配株主として「リスクを恐れるな。積極的に投資,増産をせよ。雇用を増やせ」と檄を飛ばす。かりに1社だけ買収して同じことをしても,顧客の購買力は変わらないから,積極的な経営戦略は裏目に出る。全体に号令をかけることで,経済全体の購買力が高まるのでうまくいく。すると景気は上向いて,デフレも解消されるだろう。念のため,値上げも命令しておこう。
 また,特定の会社の株を買うと不公平な政策になるが,公平にすべての公開会社の株を買えば,そういう批判は避けられる。(中略)

先日,Twitter上で,土居丈朗・慶應義塾大学教授と日銀総裁インセンティブについて議論した(池尾和人・慶応義塾大学教授も交えてのものだが,その様子は,「池尾先生、岩本先生、土居先生のツイッター談義『日銀について』」にまとめられている)。
 土居教授の発言は,「デフレ止めなくても高給貰える日銀総裁ではコミットメントが弱い。適切にデフレを止めると高給貰えるよう、政府と日銀総裁とで最適契約を結び(説明責任)政策実施には政府は口を出さない(独立性)関係が必要」,「例えば、1年後に消費者物価上昇率を1%以上にできなければ解雇できれば3000万円とか。これで、そんなの「できない」と言うなら、端からできないと思う方よりもできると思う人を雇った方がよい。でも、できるかできないかは結果次第。」というもの。
 金融政策のことがよくわかっている人間が,土居教授の提案による契約に基づいて,日銀総裁に就任したらどうなるか。
 金融政策には政策の発動から経済に影響が出るまでに時間がかかる(効果ラグ)から,1年以内に成果を出せといわれているときに,穏健な政策から順に試していく方法では,すぐにクビになってしまう。強力な政策を即座に繰り出すことで何とかするしかない。したがって,「パウエル・ドクトリン」を拝借して,圧倒的な戦力を投入して,短期間で勝利に導く戦略を採用することになるだろう(注1)。だとすれば,東証全企業買収案はもっとも現実的な選択肢となっても不思議ではない。>