国庫負担なんてやめてしまえ

私は「既得権益守れ」派(???)ですが、福祉国家にせよなんて、ちっとも思っていません。

だいたい、大新聞なんてのは既得権益を持つ人が主たる読者なわけです。それを奪われた人たちが、真面目に大新聞購読するわけないでしょう。新聞の定期購読なんて、失うべきものを持っている人にのみふさわしい生活スタイルだ。

そういう意味で私は、政治的に実現不可能な政策、国民合意が難しい改革論を、いつまでも唱える時間のムダはやめろ、と最近は思っている。

経済学者としては、消費税を増税し、それを財源として年金・医療の国庫負担を維持し、できれば法人税を下げろ、と言わなければならないわけですが、このような政策に、はたして実現性可能性はあるか?

消費税増税と同時に法人税減税では、後者の財源として前者をあてたと国民から見られることは必至です。だから、あくまでも消費税増税は基礎年金の国庫負担率の財源とマスコミに報じられるようにやらなければダメです。

でも、今の政治状況ではそれすら難しいと私は思っております。

消費税増税をあきらめ、ついでに国庫負担の2分の1への引き上げも断念してはどうでしょうか。

では基礎年金はどうするのかというと、現在まだ残っている基金をとりくずすのですね。

もちろん、これではいずれ基金は底を尽き、基礎年金は破綻してしまいます。でも、政治的に可能なのはむしろ年金の破綻だと思います。

私は、年金と国債の破綻、どちらかを取れということになったら、年金の破綻を選ぶべきだと思います。年金が破綻して困るのは主として引退世代ですが、国家財政が破綻すればすべての世代に負担が及ぶ。

そもそも、国債が破綻すれば我が国の金融市場全体が破綻し、日本の金融機関は資金が取れなくなり、金を借りている企業も資金繰りが行き詰まります。

これに対し年金の破綻なら、あ、お金がなくなりました。支給額を減らしますからごめんなさい、で済む話です。

日本航空だって、さんざんもめたけれど、退職者の組合は最終的に年金切り下げに合意しました。本当に金がなくなれば誰だってあきらめるというものです。

もちろん、年金の破綻が視野に入れば、サラリーマンでない人たちの未納は増えます。しかし、未納となればもらえなくなるのですから、のちの年金財政の負担にはなりません。

無年金者はどうするんだ、ということになりますけれど、それは生活保護で対応すればよい。一見、将来の負担が大きくなるように見えますが、その分、現在の国庫負担は減るのです。

そもそも、救済すべきは本当に困窮している人たちであり。高所得の人まで財政で救う必要はありません。それに今だって、自営業者の家族はほとんどが給与所得者であり、厚生年金(相当の制度)を払っているはずです。給与所得控除こそ、自営業者を潤わせている税制なんですから。

もちろん、正論から言えば、税方式で未納者の問題を解決するのがいいですよ。でも、昨今の菅政権の失態を見れば明らかなように、あまりにも政治的に困難です。

思い切って年金を破綻させて、その上で「国民の皆さん、年金をどうしましょう?」と問うべきです。なまじ年金基金があるから、国庫負担があるから、問題が先送りにされているのです。

基金が底を尽き、毎年の保険料収入で払える限りの年金しかなくなって初めて、国民は真剣にこの問題と向き合うでしょう。

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http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819481E0E3E2E28B8DE0E3E3E3E0E2E3E29F9FEAE2E2E2

<基礎年金の国庫負担引き上げを巡る問題が深刻化しているのは、民主党だけの責任ではない。2004年の年金制度改正以来、歴代の自公政権も本格的な増税論議を避けてきた。少子化社会保障制度の支え手が減るなか、12年からは団塊の世代への年金支給が本格化する。社会保障と税制の一体改革について与野党を超えた議論が求められそうだ。

 年金制度改正では安定財源の下で、支給額の半分を税で負担するとされた。ところが、こ…>