再び「基礎年金の国庫負担は廃止せよ」

珍しく(?)鈴木亘と意見が一致しますね。

国庫負担を36%に引き下げても50%を維持しても、どのみち10年やそこらで破綻するというわけですが、私はこうなったらできるだけ早く破綻した方がよいと考えます。その方が国民は真剣に社会保障財源を考えるでしょうから。

基礎年金が破綻したら大量の生活保護者が出ると言いますけれど、破綻によって年金給付が減るわけです。どのみち、何らかの制度を使って生活困窮者を救わなければならないとしたら、保護の必要のないほどの所得を得ている高齢者に給付する必要のない制度の方が少ない財源で済むはずです。

黒川さんは、鈴木亘の意見は権丈さんと対立する、みたいに言いますけれど、そうでしょうか。

http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2010/12/126-ff2c.html

<また年金について破綻する破綻すると煽っている。権丈先生と正面から論争してみたらどうかと思う。見てみたいものだ。>

もちろん、両者はいつも意識しあって対立していますけれど、最近、権丈さんが言っていることは、それほど大きく違わない気がします。

http://www.kenjoh.com/

<(12月1日)遙か昔から、「負担増のビジョンを示さない政党には拒否権を発動するべし」、ただそれだけを言ってきた僕からみれば、静かなる革命戦士たちからあきれられ見放された政権は、社説で正論をもって𠮟咤しても、どうしようもないと思うけどね。
ところで、昨日の日経の「(社説)年金積立金に頼るのは禁物」もかなりまともだったな>
(このページ、記事ごとのリンクができず引用しにくい)

鈴木さんは、このままでは破綻するから、給付カットか財源の手当てか、どちらかをしろと言っているわけです。権丈さんは年金の税方式化に反対しているだけで、財源がなければ破綻することを認めていないわけではないでしょう。

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http://news.livedoor.com/article/detail/5188341/

<まず、36.5%に引下げた場合を考えよう。2004年の年金改正によって作られた100年安心プランは、国庫負担率を50%に引上げることを前提として建てられたプランである。その前提が狂った場合には、現行法では保険料率や給付カット率のスケジュールを変えられないため、積立金を早期に取り崩すより他に手が無い。

その場合の積立金の枯渇時期を、実は、当の厚生労働省自身が昨年2月に試算、公表しているのだが(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/dl/sankou.pdf の24ページ)、あまり知られていないようである。何と、国民年金の積立金は「2027年に枯渇する」というゾッとする結果である。しかもこれは、運用利回りを4.1%に設定したり、国民年金未納率を現状の4割ではなく2割に設定するなどの粉飾決算が行われているものであるから、正確に現状を反映するのであれば、恐らく2010年代に年金財政は破綻するという結果になるだろう。

一方で、埋蔵金で来年度は何とか2分の1の国庫負担を維持したとしても、埋蔵金は直ぐに枯渇するから、やはり年金の積立金を取り崩さざるを得ない。そうなれば、やはり、2027年よりも1、2年寿命が延びるかもしれないが、いずれにせよ、年金財政は早期に破綻する。結論は同じことなのである。

政府が行うべきことは、こうした年金財政の悲惨な現実を、国民にきちんと見せた上で、所得税や消費税引上げ等によって13.5%分の恒久財源を作り出すか、年金法を改正して保険料率を引き上げたり、給付カットをきちんと行えるようにするという、当たり前のことなのである。

そして、この原因はそもそも、恒久財源の無いままに国庫負担率を2分の1に引上げた自民党公明党の無責任なツケにある。そのことも含めて、国民にきちんと説明すれば、自民党公明党とも、根本的な財源作りに協力せざるを得ないであろう。菅総理は12月4日、この半年を振り返って「政策の発信力不足」を反省したそうであるが、年金財政の現状こそ、もっとも国民に情報発信しなければならないことの一つである。>