高所得の源泉は運、という説

これは、昔からさんざん八田達夫先生が言っていることで、アカデミックにはLester Thurowの研究が有名です。MITの教授になってからは企業の講演会で金儲けするだけの人になってしまいましたが。

要するに、資産家や高所得者の所得の源泉として、努力よりも運や才能が重要であるという話です。才能も運も減るものではないのでもっと課税できる、というわけ。

八田先生の原稿、紙に書いてあるものは手元にあるんだけど、ネットには出てこない。

サローにしても、それらしい論文はひっかかりません。何せ1980年以前の古い研究だからね。
八田先生がサローの研究として紹介しているのですけれどね。

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http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1144.html

<たとえば、「エコバヤシ」などといって現在LED電球の宣伝をしている、小林幸子という歌手がいるが、彼女は子供時代の1964年にデビューしたものの15年間は鳴かず飛ばずで、1979年に「おもいで酒」が大ヒットした時、年末の歌謡賞で拳を握りしめながら「苦節十数年」などと言って感極まっていた様子は、ちょっと異様なほどだった。その後30年以上売れっ子歌手を続けているわけだが、小林幸子は「おもいで酒」以前には努力が足りなかったから報われず、「おもいで酒」以降には、「おもいで酒」以前には決して行わなかった努力を30年以上続けているからその間ずっと売れているわけではないだろう。

何が言いたいかというと、年収だの財産だのというものは、決して本人が行った努力の質と量を掛け合わせたものには比例しないということだ。「働いても働いても楽にならない」ワーキングプアの人たちが、竹中平蔵より数桁も少ない努力しかしていないことなどあり得ない。

要するに、たまたま天職についたとか人の心をとらえる楽曲と巡り会ったとかいう幸運と、本人の努力の両方があって大成功する人が出てくるのだが、その結果、自分はアメリカにあるような豪邸に住んで、多くの使用人を雇って豪勢な生活をしてしかるべき人間であると考えるのがたとえば竹中平蔵のような人間であり、竹中平蔵ら富裕層が消費することによって経済を刺激し、景気が上向くというのがトリクルダウン理論である。>