風評被害

赤木智弘が久しぶりにいいこと言ってますね。

これに関連して私が気になるのは、風評被害は東電の賠償対象範囲になるかどうかである。

野菜やミルクの出荷を制限したことで、「都市のスーパー店頭でほうれんそうから○○マイクロシーベルト検出!」などと報じられてパニックが起こるリスクは回避された。

もちろん出荷できなかった農家は損失を被っているけれど、損失を与えたのは東電、それとも政府?

そもそも汚染がなければ政府は出荷制限命令なんて出さなかったわけで、東電に賠償させるのは当然のようにも見える。

しかし思い出すのはホリエモン事件。

ライブドアの有価証券虚偽記載で起訴されたわけだが、あの事件、あの時点で投資家に損失を与えたのは、ホリエモンではなくて検察だったことは明らかでしょう。

検察など出てこなくても、早晩バブルが弾け、にわか株主は損失を被っただろうけれど、バブルは虚偽記載などで起こっていないはずです。だって当時、誰もライブドアの決算なんて興味なかったもの。株のバブルというのは、誰も業績なんかに興味がないから起こるのですよ。

農家の損失だって、どのみち、東京の店頭で放射線検出されるかどうかして発生したとは思うけれど、政府がかかわったことで大きくなったか、小さくなったか。これはわからないですよ。法廷で判断ができるようなものではない。

もちろん、政府は、そういう法律があったから出荷制限出したわけでしょ?違うの?

宮崎の口蹄疫の時は法律に基づき政府の命令で牛を殺処分した。これについては政府が補償することになっている。とすれば出荷制限による損失も、第一義的には、政府によって補償されるべきでしょう。

しかし、今の議論は、補償負担はほぼ自動的に東京電力に回ることになっている。そういう法律があるのかな。

政府の命令範囲以外の、いわゆる風評被害については、どう考えても政府の補償対象ではないよね。岩手県の温泉に行くな、などという命令は出されていない。

同様に、出荷制限の対象ではないが売れなくなった農産物を、誰かの補償負担にすることは、やはり難しいのではないだろうか。

東電の巨額の賠償負担、などと当然のように報じられているけれど、厳密に考えれば、賠償範囲ってどう決めるのだろう?

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http://news.livedoor.com/article/detail/5583397/?p=1

<では、中国産食品の危険性が高くないことがわかったとしても、それでも国産品は外国産に比べれば、圧倒的に安全なのでは? と思う人もいるだろう。

 これについては厚生労働省が、2003年度の農産物中の残留農薬検査結果の中で、国産品と輸入品を比較し公表している。(*3)

 200万件を超える検査数の中で、基準値を超えた残留農薬が検出された件数は、国産品で15件、輸入品で51件であった。この結果を見て「輸入品は国産品の3倍危険だ」と言えるのだろうか?

詳細(*4)に書かれているが、農薬の残留基準が設定されている品目の検査件数のうち、国産・輸入の別は、国産品が188,920件、輸入品が640,805件であり、うち基準を超えた割合はともに0.01%以下である。

 このように、国産の食品だから、外国産に比べて安全ということはないのである。

 「中国の冷凍餃子は死亡事故を起こしたじゃないか。危険の質が全く違う!!」という主張もあるだろうが、先日は日本で調理された国産牛のユッケで死亡事故が発生している。これもまた「国産も危険」ではなく、死亡事故に至るような食中毒事故など、1億3千万人が毎日食事をしているという事実に比して、極めて少ない例外的な事故であると解釈するべきである。データが欲しければ、これも厚生労働省にある(*5)ので、一度流し読みをしてみることをおすすめする。


 日本人はこうした現実から目を逸らし他国を理不尽に貶めて、日本は素晴らしいという自尊心のためにさんざん利用してきた。そのことに対する反省もなしに、その視線を自らに向けられた時だけ「風評被害だ!」と騒ぎ立てても通用しないのは、当たり前である。

 残念ではあるが、今のところ日本が他国にそうした風評を向けられたとしても、それは甘んじて受ける他ないように思う。>