やめる執行部による処分

歳川隆雄って、後から見て予想が正しかったと思ったことなど一度もないけれど、この論点は面白い。

もちろん、前原が仕掛けた陰謀、なんて根拠のない話のことではない。

「内閣不信任案が僅差で可決していれば、菅内閣総辞職=菅退陣を余儀なくされ、と同時に造反分子の首謀者の小沢元代表を除籍(除名)処分にできる」って、誰が処分するの?

民主党の党首選をやるんだろうけれど、選挙管理は誰がやるのかな。やめる執行部が造反者を処分して投票権を制限できるのだろうか。

過去の例を見ると、宮沢政権の時は造反組は離党したから、処分は関係なかった。大平内閣の時は、小さい処分があったか知らないけれど、事実上、処分なしでしょう。

それに政治力学として、ガチンコで小沢が勝ったとして、勝った方が処分されるわけないという気がする。

もしやめる執行部でも処分できるならば、菅をやめさせることができると思っている執行部にとって、不信任案は可決でも否決でも、どちらでもよかったはずである。

だって、可決されれば、菅を総辞職させて、小沢を除名して、その後の主導権を握れる。

反対に否決されれば、やはり小沢を除名できる。どっちに転んでも仙谷はじめ現執行部の実力者は主導権を握れる。

となれば、わざわざあんな談合を受け入れる必要はなかったはずである。「絶対大丈夫ですから、妥協する必要はありません」と菅をガチンコ決戦に誘導していればよかったはずである。

ただガチンコとなると、菅が解散してしまうおそれはある。

高等戦術として、菅に鳩山を騙させて、その後、「やめる気はない」と言わせ、それが野党や小沢一派からの批判を招き、結果的にやめざるを得なくなる、という凝ったプロットを考えていたので、談合させた、という解釈もありえますけれど、いくらなんでも考えすぎか。

もちろん私は、仙谷は、菅をやめさせようと考えていただろうとは思います。だって、菅が解散に突入したら元も子もなくなりますからね。それよりは、鳩山と手打ちをさせ、その後、菅を下す算段を考える、という戦術はありえます。しかし、これだと小沢を処分する口実がなくなる。

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http://gendai.ismedia.jp/articles/-/7368?page=2

自民党のベテラン組と謀って内閣不信任案提出を仕掛け憤死した小沢元代表と、計略をもって何とか首の皮一枚つながった菅首相との間で、実はもう一人の人物が今回のドラマの裏面で動いていたと、筆者は見ている。その人物は、前原誠司前外相である。

 内閣不信任案が僅差で可決していれば、菅内閣総辞職=菅退陣を余儀なくされ、と同時に造反分子の首謀者の小沢元代表を除籍(除名)処分にできる。即ち、「菅降ろし」と「小沢排除」の一石二鳥を実現したうえで、仙谷由人官房副長官を後継代表に擁立、自民党との大連立政権を樹立するというシナリオである。

 この「仙谷復興・選挙管理内閣」を期限付きで立ち上げ、懸案の税と社会保障の一体改革(消費増税)、難航するTPP(環太平洋フォーラム協定)参加、自民、公明両党も望む選挙制度改革(中選挙区復活)などを実現するという目論見ではなかったのか。前原氏が官房長官として仙谷首相を支え、自民党から大島理森副総裁や林芳正政調会長代理など、たちあがれ日本から園田博之幹事長らが入閣するというものだ。>