勝ったのは誰?

本日のヨニウムさんの分析はよい。確かに、誰もが完全に勝利を収めたとは言えないが、敗者でもない、と指摘している。

金曜日までは、菅がるーぴーをうまく騙したので、菅の勝ち、という論調だった。

しかし、その結果批判が高まったので、翌土曜日は執行部の連中が相次いで早期退陣を口にした。その通り早期退陣が実現すれば、最大の功労者は鳩山、ということになる。

他方、不信任決議賛成に小沢を誘い出し、可決でも否決でも除名という小沢派殲滅の陰謀も不発。菅はやめるが小沢はお咎めなし、という結末に落ち着きそう。

だから、何も変わらなかったという意味で、確かに茶番ではある。

小沢の衰えも指摘の通り。どうせなら、一糸乱れず否決、が良かったと思う。松木の単独行動を許したことによって、統率がとれてないことが露見してしまった。

欠席も賢くない。結果的に処分はなかったものの、否決に回った方が、本人が除名されるリスクを冒さずに済んだはずだ。

こういう詰めの甘さが衰えの表れか。

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http://critic5.exblog.jp/15690422/

<前回の記事で「三方一両損」と表現したが、この政治には各者間の微妙な騙し合いと、その騙しに乗って手を打った駆け引きのバランスがある。菅直人鳩山由紀夫を騙したが、鳩山由紀夫の方も菅直人の騙しについては内心で承知している。騙しに乗っているのだ。党分裂の回避と自身の政治生命の保全のために。同じく、鳩山由紀夫小沢一郎を少し騙したが、小沢一郎の方も、鳩山由紀夫からの合意内容の電話報告(6/2午前)の騙しの部分は、政治妥協のマージンの範囲なのであり、「騙された」と激怒するほどの問題(譲歩)では決してないのだ。小沢一郎自民党を騙したが、こちらの方は、かなり手の込んだ騙し方であり、一杯食わされたと腰を抜かして泡を吹くものだろう。爆笑させられる。非常に巧妙で大胆な騙しであり、見事に自民党を引っ掛けた。WSJのインタビューを見れば、普通に考えて、小沢一郎自民党と組む腹なのではないかと疑うし、政策白紙と私怨感情が際立つのだが、自民党を信じ込ませて誘い出す布石だった。高等戦術であり、森喜朗も騙されてしまった。不信任案の政局を早くから準備し、自民党に不信任案を提出するよう催促していた仕掛人小沢一郎なのだ。これで、自民党からの不信任案提出はなくなり、小沢一郎とすれば、「菅直人の進退表明」という成果と「レイムダック」の状況の上に、党内抗争に限定した政局で棋板の駒を動かせる。こうして見ると、小沢一郎は今回の政局で菅直人を追い詰め、満足できる戦果を得たようにも見える。

しかし、それはメダルの一面で、裏側には別の現実も垣間見える。それは、小沢一郎の弱気であり、力の衰えである。不審に思うのは、なぜ、議員の自主判断に任せたのかという問題だ。自主判断に任せれば、青票、棄権、白票の三つの選択に議員が分かれてしまう。それぞれの立場の塊ができる。政治戦の戦場で、将たる指揮官が兵の議員にこんな指示を出したら、その時点で部隊は敗北と潰走という意味ではないか。終わりなき政局の戦闘を続ける以上、軍団は一致結束を貫かなければならない。当然、全員揃って棄権の指令を出すべきだった。70名の一糸乱れぬ棄権で軍団の統制と士気を示威し、同時に、可決票のボーダーラインを下げ、「薄氷の否決」の結果を演出すべきだったのである。そうすれば、不信任案否決後の党内政局で、中間派を怯ませ靡かせる脅威となり、一気に主導権を発揮できただろうし、軍団の戦意を高揚させたまま、両院議員総会の本丸攻撃に突入できただろう。報道では、両院議員総会の開催は岡田克也の首穫りが狙いと伝えられている。何となく、小沢一郎のファジーな戦略戦術の心底に、トロイカ再生の選択肢なり終着構想が見え隠れするように感じるのは、それを提案している私のバイアスの投影だろうか。政局の今後は、菅直人小沢一郎の怨恨の対決構図であるように見えて、実は、世代交代と大連立の新体制へ固めたいマスコミ・官僚と、トロイカ復活で民国社連立のマニフェスト路線を蘇生させようとする小沢一郎との、その二者の対立こそが底流であり本質なのではないか。>