「日本だけ例外」は無理

実は、同じことは、TPP推進派の学者である伊藤隆敏も指摘しているのですよ。(伊藤さんの意見については次項で。)

今マスコミは、とりあえず白紙で交渉に参加することが可能であるように報道して、とりあえず交渉参加はいいじゃないか、という世論調査の結果を人為的に作り出しているけれど、それは事実とは違うのですね。

要は、日本の農業が生き残ったのでは、TPPの趣旨に反するし、アメリカの意図にも合致しないのです。

ただ、アメリカも農業補助金は認めるみたい。というのも、WTOで議論するとアメリカも農業補助金をやめなければならないが、TPPならその必要はないということらしい。

つまり、土地の制約上、日本の農業を生き残らせるためには政府は天文学的な補助金を支給しなければならなず、それは日本政府にとって無理ということを、アメリカは見透かしているということかな。

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http://news.livedoor.com/article/detail/5955970/

<さあ、皆さんは、ここまで聞いてTPPについて、どのようにお感じになるでしょう。コメを始めとして農産物が安くなるのであれば、大歓迎で、TPPに参加すべきとお考えでしょうか?

結論を先に言って恐縮なのですが、私は、そうした理由でTPPに参加すべきではないとは思うのですが‥それでも、そうした理由もありTPPに参加すべきであると主張するのであれば、それはそれで筋が通っていて、一番わかりやすい議論であるのです。

日本は、農業には競争力がないから、農業に力を注ぐよりも製造業により力を注いだ方がいいと言うのであれば、一応筋は通っているのです。それによって、それぞれに国が利益を得、世界経済の発展につながるのだ、と。

では、今、TPPを推し進めようと必死になっている政治家は、そうした考えを有しているのでしょうか?

答えは、ノー。政治家の考えは、農業は農業で守り抜く‥つまり、例外として関係国に認めさせると言っているのです。つまり、TPPの例外を認めさせるから、TPPに参加すべきだ、と。おかしな議論であるのです。

TPPの心は?それは、自由な貿易を徹底するばかりでなく、サービスの分野も自由化を徹底することにある、と。
しかし、政治家たちは、農業における例外扱いを関係国に認めさせたり、或いは農業の大規模集約化を進めることで、日本の農業の生き残りが可能だなんて言っているのです。

でも、日本の農業が生き残れるということは、アメリカの農産物の日本に対する輸出が増加することにはならないということで‥それではアメリカとしては困る訳なのです。アメリカの目論見は、牛肉やコメや‥いろいろな農産物をもっと日本に買ってもらうこと。ということは、その分、日本の農業が痛手を被ることを意味しているのです。ですから、TPPお化けなんてことをいう政治家は本当に分かっていないのです。

それに、そもそもアメリカの態度もおかしいのです。アメリカがそこまでTPPを推進したいというのであれば、何故、地球レベルでのWTOの交渉に積極的にならないのか?

それは、WTOの交渉では、農業への補助金の廃止など、米国としては痛いところを衝かれるのでなかなか交渉が進まないのです。つまり、米国は都合のいいことばかりを言っているということです。>