輸出依存度

日本企業がもっと国際化するぐらいしか成長戦略がない、ということなんでしょうが、直ちに信奉する前に確認したいことがあります。

こういうミクロの話は、マクロの話と整合的でないと、イマイチ説得的でないと思うのですよ。

どこのデータでもいいですが、かりそめに検索して出てきたページでいうと、例えば、

http://d.hatena.ne.jp/satohhide/20090615/1245057093

<調べてみると、まず事実認識として日本の輸出依存度は事実上G7の中で一番高いと思われる。

2007年のG7各国の輸出依存度は高い順にドイツ39.9%、カナダ29.2%、イタリア23.7%、フランス21.1%、日本16.0%、イギリス15.7%、アメリカ8.4%となっている。(参照)

これだけ見ると、日本は下から3番目で低い方にされてしまいそうだが、そうではない。

例えば1位のドイツの輸出相手国の7割程度は欧州の国で、EU域内輸出が6割ほどぐらいだろう。日本で言えば輸出というよりも、国内移出という感覚で、つまり北海道と近畿、九州と関東の間の移出も輸出にカウントしているようなものだ。大袈裟に言えば、お隣の国から車で来た買い物客に物を売れば輸出したことになる。欧州経済圏以外での輸出額を大雑把に3割とすれば輸出依存度は実質12%ということになる。日本より少ない。ましてや他の欧州国はもっと少ないことになる。ユーロ圏内取引を除いたユーロ圏全体輸出依存度は16.9%だ。

2位のカナダに至っては、その78.9%がアメリカというお隣さん。アメリカ以外の輸出依存度は何と6%になってしまう。

つまり、日本はG7の中で一番輸出依存度が高いのだ。>

アメリカはそもそも周辺国の経済規模が小さいので、輸出依存度は低い。

欧州は域内の取引を相殺して、域外との取引のみを貿易とみなせば、それほど輸出依存度が高いわけではない。

日本もこれまでは周辺国の経済規模が小さかったので輸出依存度は低かった。しかし、今後、中国など東アジア経済が成長すれば、自然に依存度は上がるでしょう。

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http://www.nikkei.com/my/scrap/article/tc/g=96959996889DE1E7E7E0EBE7E5E2E3E0E3E2E0E2E3E39997EAE2E2E2;SORT=1;bj=20111023113816690;bk=6;bi=20111025020559999;br=0;bu=BFBD9496EABAB5E6B39EBAF9E1B4849881E5A6BEBA9790AB8394B893F9E5B0879A93949CBCB8F9B78B9F8482A6A186BE82EBA1B0A1BFEA8A959F8BBAE7B59886BB9AA288BE9BE5EAA3A79E99E6A3BEE0E2EAE0A0E5A6E5BDE68ABDBFB99187A0BCFD82949EB69EE1B6BE9C9499E49ABD8A8581879DAAEAEAE2BAE59081B1B5ABA285BAE7BB8AA7E18AA0EA9CA4A1BB9A97859488A6E791A48195BDF9A3A181A68290B1B5BE9FA6B5A2E0B7B8B3E5E5A191B8B895B8A08BFDBEBAB191A7E3F9E4A5E49485E5E0B9E3AAAB8690E196A3EBF9BE94A8979194E5BEBBB08A97E4B3EAA6FD8A9FA4A29CF9B0B486B3918295BDE7A8EA8A82B882B9BE9FB4BBA59CB6939FB78A999C8AE384BE9DEABEBF88BAEBA7B9A2F9A7A8E790E6EAE09F8A94B3AA9C8397E0E4868AE798E5A580BCE0BDA3B6EB9BA2A7B9E490E38AA4A3BCBEBF97E6E3B4E2EBEAE2BEB0FDA0BCA7E0B991A5A7EBE1979C90938B85A6A3A699A8BB919A9886FDB7A4ABB59697EF

<宮坂醸造は特別な例ではない。グラフは、1995~2007年の日本企業の労働生産性(従業員1人あたりの付加価値生産額)の平均値の推移を、00年に初めて輸出を開始した企業と、この期間中に輸出を一切しなかった企業に分けて示したものだ。輸出企業は非輸出企業に比べて輸出開始以前から生産性が高いだけでなく、輸出開始後にはその差がさらに開いている。より厳密に分析した慶応義塾大学の木村福成教授らの研究によれば、輸出は企業の生産性成長率を平均で約2%上昇させるという。

 輸出だけでなく、海外への直接投資や生産委託、海外からの研究開発投資によっても日本企業の生産性が上昇することが、様々な研究で見いだされている。これらの分析結果は、企業が国際化して世界とつながることで、新しい技術や知恵を生み出して成長することを明確に示している。

 ところが、日本の輸出額の国内総生産(GDP)比率は経済協力開発機構OECD)34カ国中、下から2番目(04~08年平均)で、日本は必ずしも貿易大国ではない。海外からの直接投資額のGDP比も下から2番目、海外への直接投資は25位だ。日本の国際化の度合いは相当低い。

ただ、日本はこれ以上国際化できないわけではない。潜在的に世界で競争できる技術力があるはずなのに、国内市場にとどまる企業が多数あることを、京都大学の若杉隆平教授と筆者らは全国の企業のデータを使って明らかにした。筆者はこのような企業を「臥龍(がりょう)企業」と呼んでいるが、臥龍企業はどの産業にもどの地方にもあるし、中小企業にも少なくない。>