食糧自給率の怪

日本の食糧自給率が低いと言われる件。

しかし、日頃、スーパーで買い物していて、輸入農産物を買っているという実感はあまりありませんよね。牛肉はお祝い事でもなければ輸入ですが、豚肉、鶏肉はだいたい国産ですし、野菜ももちろんそう。

確かに、自給率をカロリーで見れば、肉の生産に使われているのはほとんど輸入穀物だから、自給率が低くなります。

しかし、購入金額で見れば、ほとんど国産ばかり。

実際、金額ベースで見れば、自給率は7割近いそうではないですか。それどころか、先進国中トップだそうです。

ここでわけわからないのは、金額ベースの自給率がマイナス、ということ。ドイツなど欧州諸国はほぼそうです。

これは輸出額が大きいので、「国内生産額-輸出額」がマイナスになるからだそうで。

何かヘンですが、これは国内と国外で異なる価格を用いて計算するためです。海外に輸出する場合は国内より高い価格で売るからです。

つまり、農産物自由化論者に言わせれば、世界中から安く買える米・穀物は国内生産をやめて輸入し、日本の生産者は海外に高く売れる野菜に専念すべし、ということ。

そもそも、野菜は贅沢品ですよね。カロリーを摂るためには野菜は非効率です。貧乏人が野菜を断念し、米や芋を食うのは、その方が効率的だからです。一方、金持ちは野菜をたくさん食べることによって十分カロリーが摂れる。

要するに、世界で最も金持ちである日本人は、贅沢品である野菜を食べることができるわけだから、コメの生産にこだわる必要はない、ということですね。

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http://agri-biz.jp/item/detail/3022?page=1

http://agri-biz.jp/item/content/pdf/3022?forward=%2Fitem%2Fcontent%2Fpdf%2F3022

<取材を進めると、ことの真相がみえてきた。結論からいうと、日本の自給率(金額ベース)が海外と比べて高すぎて出せないのだ。前号でも追及したとおり、農水省自給率発表の目的が人々の食料への不安を煽ることで、利権を守れるような世論形成をすることだとしたら頷けるだろう。隠蔽するならばと、筆者が省が独自開発した数式(表1下)に当てはめて作成したのが、表1である。日本に次いで米国、ロシア、タイが続く。イタリアは40%を切り、農業強国のフランスやオーストラリアがマイナスである。農産物の輸出額が国内農業生産額より、上回っているからだ。表1下の数式をみてもらえればわかる。グローバル化した経済環境の中で、輸出金額が国内の原材料生産額を上回るのはなんら不思議な話ではない。この式では、マイナスが高ければ高いほど、海外顧客が多く、商品の付加価値も高いともいえるだろう。日本のパーセンテージが高いのは、国内生産額より輸入額がずっと低く、かつ輸出額が少ないからである。つまり、国内顧客の比率が高い。国産プレミアムが高いともいえる。

 結局のところ、この式は自給の概念とは何ら関係ない。もっといえば、金額ベースの自給率という概念自体、成立しえない。成立しえないものを無理やりでっち上げようとするから、こんな解釈をつけなければ結果の意味が説明しえないのだ。 >