大崩山(たった15分で敗退して高千穂見物)

この連休前半、天気が良いのは29(日)までという予報だったので、木曜日から休暇を取り、念願の大崩山に挑戦することにしました。
 
今回は、27(金)に大崩山に登り、翌日は尾平に移動し、29(日)に祖母山に挑戦というのがプランA。疲労が激しければ28(土)に高千穂見物がプランBでしたが、どちらもできず(つまり、そもそも大崩山に登れず)、高千穂見物だけして撤退しました。
 
最近、御在所岳由布岳、雲仙と順調に登って浸っていたいい気分を、一度で打ち砕かれてしまいました。
 
木曜日の夜に延岡に入ります。福岡天神から高速バスに4時間半揺られます。ホテルのフロントで朝5時のタクシーを予約します。大崩山へのバス便は平日でも1日に2、3本しかなく、早朝に登山口に辿り着く便はないので、タクシーで行くしかありません。というか普通の人はマイカーで行きます。
 
タクシーで50分揺られ、登山口に5時50分に到着。タクシー代は6800円でした。
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5時55分に登山開始。早速、道が荒れています。倒木を迂回したり、朽ちかけた丸太橋を避けて岩につかまって沢を越えたりの連続。これは通過後に撮影しました。こんな橋に体重を載せることは到底できません。
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アプローチ段階での悪路はまったく予想していませんでした。ところが、帰宅後確認したら、有名百名山ブロガーは小さくですが、確かに指摘しています。
 
<ここは一般コースとはいえ甘く見てはいけない。私は左カーブの所をそのまま進んでしまい、20mほど行って引き返す。 岩やロープ、木の梯子なども現れて来る。雨上がりの岩は滑りそうで怖い。>この人、私と同じところ間違えたのですね。
 
登山口からは祝子川沿いにしばし進むが、沢音が心地よく雑木林なので雰囲気も良い。アプローチとは言え結構ハードな個所も多くあった。
 
朽ちた丸太橋を2ヶ所回避した後で、道を間違えてしまいました。登らなくてもよい崖を攀じ登り窮していたら、下の方に広々と平らな道が見えるではありませんか。
 
少し戻って探すと、案の定、崖とは反対に左側に回り込むところに白いリボンが。ところが、ここが私にはどうしても越えられませんでした。
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右側に向かって緩やかにカーブしつつ登る道なのですが、平らでなく、かなり崖下に向かって傾いています。しかも、鬱蒼と木の葉に覆われふかふかで足場としては不安定。しかも、山側にはつかまりどころになる岩も木の根も何もありません。ここで滑落すれば、数十メートル下の川までドボンです。恐怖のあまり、まったく足が動かなくなってしまいました。前後に登山者は他に誰も見かけず、こんなところで落ちたら誰にも気付かれずこの世からおさらばでしょう。
 
登山者にとって大崩山は神話的存在です。しかし、文字通り神話に挑戦する人はそんなに多くはないのでしょう。だからアクセスも悪いし、ルートも整備不十分というわけですね。
 
落ちれば死ぬとわかっている崖でも、足場やつかまりどころがしっかりしていれば怖くはありません。由布岳の西峰はそうでした。しかし、ここは、単なる人通りの少ない平凡な山道なのに、私は恐怖感を抑えることができません。高い交通費を払って遠距離を出向いたのに、まだ有名な岩峰群を目にすらしていないのに、なぜか、いささかの躊躇もなく撤退することにしました。
 
後悔が次々と湧いてきたのは、延岡駅まで戻り、これからどうするかバスターミナルのベンチで思案していた時でした。誰か先達がいてその人の後をついていくことができれば、おそらく、難なくクリアしていたように思います。たとえ一人でも、ストックを二本使い3点確保すれば何とか落ちないで通過できたでしょう。
 
ともかく、撤退開始直後は何の後悔もなかったので、祝子川温泉バス停までの車道を思い悩むことなく下りてゆくと、後ろから来た人が車に乗せてくれました。この時間、この道をこの方向で歩くのは何とも奇妙なので、声をかけてくれたのでしょう。
 
ただ、この人の行動も奇妙ではありました。宮崎県の人らしいですが、車は祝子川温泉の無料駐車場に置いて、バスに乗って帰るそうです。ここを起点として、この山をあちこちのルートから登っているようです。同じバスにここから乗った人は、地元の人一人を合わせて3人でした。
 
温泉バス停に立つ祝子命(ほおりのみこと)の像。ここは国産み神話の国なんですね。多分、私はこの神様に拒否されたのです。
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登れなかった大崩の峰々。お目当ての岩峰がここから見えないだけ、なおさら悔しい。
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