野田は食えない政治家

野田改造内閣の人事が評判悪いようです。

しかし、最初からこの人事、支持率浮揚につながらないだろうことは誰でもわかることです。

まず、輿石幹事長。この人が民主党を代表してテレビに映る時間が長ければ長いほど、票が減りそうではあります。そもそも、この人を幹事長にしたのは、何とか小沢系を離反させずにつなぎとめるという目的だったと思います。しかし、小沢系が離党した今、その役割は終わったのではないか。

次に、田中文部大臣。この人は発信力があるというのだけれど、それは十年前の話。外務大臣の時のトラブルを思い起こせば、今、彼女を大臣として抱えるのはメリットよりもリスクの方が大きいはず。

それから細野政調会長。つい先日、「原発対策に専念するため」として代表選を辞退していたのに、「原発担当の政調副会長を置く」とか何とか言いわけして、あっさり引き受けてしまった。もちろん、人事は総理=代表の専権事項だから、原発担当大臣を辞めさせられるのは仕方ないが、政調会長ならスンナリ引き受けるというのは、どうかね。

さらに、代表選で落選した3人にポストを与えなかった。かれらは離党の有力候補であり、真っ先に懐柔しなければならないはず。「原口のようなヘタレは口先ばかりで絶対離党できない」と高をくくっているようにも見えます。

いわゆる「在庫一掃」 については自民党も同じことをやるので、止むを得ないかもしれない。

とはいえ、こういう素人でもわかる人事の不備をあえて冒すというのが、野田らしいとも言える。
国民受けしないことを、あえて徹底的にやる、というのが野田の真骨頂でもある。

消費税法案が通って野田は目的を失った、という指摘もあります。確かに、消費税にまい進してきたころに比べて、今は欲が出てきてしまった、という印象があります。

しかしそれでも、安倍晋三と比較してどちらがより胆力のある政治家かというと、野田のような気がするのですよ。だから「食えない」んです。

日曜日の「言って委員会」、例によって安倍ヨイショ番組をやっていたけれど、安倍の言葉はやはり軽いという印象を受けました。

次の総理ほぼ確実という状況で、慎重に話しているのですが、くだらんパネラーのつまらん質問にいちいち丁寧に答えすぎる。

この点は金婆にたしなめられていて、「あんな質問にこんな長々と答えなくていいのよ」と言われていました。

やはり安倍という人は繊細過ぎるのが弱点ではないか。

かつて「鈍感力」が必要、と言われたけれど、これについては野田の方がはるかに多く持っている気がします。今回の人事は鈍感の極みだからね。

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http://d.hatena.ne.jp/kechack/20121006

<保守派の中でも、安倍さんが前回総理大臣だった時、結局靖国参拝をしなかったと批判する人もいるが、それは少数だ。前回は余りにも早く安倍総理が退陣したので、安倍支持者は安倍総理は無念の退陣で本当にやりたい政治ができなかったと好意的に理解している。

 その点、鳩山総理が普天間基地の県外移設を断念した途端罵声を浴びた。難しい政治課題に対して辛抱強く待つ問い言う点では左派より保守派の方が辛抱強い。保守派は他にその政策を実現できそうな人がいなければ辛抱強く待つ。他にできそうな人がいるか居ないか関係なくすぐに結果を求める左派より律儀だ。

 安倍政権へは隠れた期待も存在する。前回の安倍政権がそうであったように、前評判とは違って日中関係の改善に尽力するのではないかと。そして保守派に支持されているが故に、保守派の過剰な期待を押さえ込んでくれるのではないかという期待だ。

確かに保守派は左派より辛抱強い。しかし、障害が少なく政権が安定すれば、安倍支持者の安倍政権への「安倍カラー」の政策実現圧力は高まり、できない理由がないのに進まなければフラストレーションを溜めてゆく。我慢にも限界がある。>