安倍晋三の政党支部がキャバクラ代を政治資金から支出した件

なかなか決着のつかない論点ですが、私は、「不適切」であっても「違法」ではない政治資金の支出について、政治家が責任を取る必要はない、と考えますね。

もちろん、政治資金規制法や政党助成法の文面からして、キャバクラ代支出は「違法」とする立場も理解できないわけではありませんが、読む人の主観に依存することを一般化して「違法」とするべきではないと考えます。

「違法」ではないが「不適切」だから「道義的責任を取れ」という言い方も納得しません。「不適切」なるものも、漠然と国民がそう感じるだろうという憶測にすぎず、仮にマスコミの世論調査でそういう国民感覚がある程度確認されても、そういうものに政治家がしたがう必要はないと思います。

そもそも、日本の政治をダメにしているのは、そういう漠然とした民意を忖度して政治家は阿るべきだとするマスコミ論調だと考えています。

もちろん、政治家の「不適切」な行動を批判するのは自由ですよ。

しかし、そういう批判をする人こそが、往々にして、有権者を「不適切=違法」という混同に導こうとしている気がするんですよ。

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http://blogos.com/article/48171/?axis=g:0

<(1)まず、一般論ですが、「違法」と評価するのは、何らかの法律に違反するときです(なお、「違法」と「不法」とは違います)。

他方、「不適切」と評するときには、何らかの法律に違反するときもあります(つまり「違法」と同じ意味)が、法律に違反するかどうか不明なときも、また、法律に違反するとは言えないときもあります。
あえて分ければ、「違法」以外が(さらに「適切」な場合を除けば)「不適切」ということになります。

ですから、「不適切」と評するには必ず「法律上の根拠」が必要である、とは言えないのです。

(2)政党助成法の場合には、政党交付金の使途の制限は明記されていません。
しかし、前述したように、当該法律には内在する制約があるのです。

(3)また、そのような内在的制約以外に、同法には、すでに紹介したように以下のような規定(第4条第2項)があります(これを前述の内在的制約を説明する方がわかりやすいかもしれません)。

『政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない。』

これは、「キャバクラには支出してはならない」とは明記されていません(一般にそのような規定はされないのが法律学の常識です)が、キャバクラ代などの飲食代を政党交付金で支払うのは、この条項からいって問題です。

(4)安倍元首相の政党支部の場合には、実質的には政党交付金からキャバクラ代などの飲食代が支出していると言えるので、以上の条項だけしかあげませんでした。

(中略)

(6)国民主権の民主主義国家においては、一般論として、主権者、納税者が税金の使途や政治資金の収支を監視し、厳しくチェックすることが期待されているのです。

それに加えて前述の政党助成法や政治資金規正法の諸規定からして、主権者が政党交付金の使途、政治資金の収支を監視し、厳しくチェックすることが政治的に求められるのです。

(7)安倍元首相の政党支部がキャバクラ代などの飲食代を政治資金から支出したことについては、前述の規定を根拠に「違法」であると批判することも可能なのですが、それに対応した罰則の規定がないため(それでも「「違法」といえるのですが)、私は、控えめに「不適切」であるとの批判にとどめたのです。>