私立大学開設は利権、という話

田中真紀子がブレて、事実上、新設大学を認めるらしい。

本人も、こんなに大きい波紋が起こるとは思っていなかったのでしょう。

だいたい、新設大学なんてのは、校舎を確保し、教員を確保し、高校に営業をかけてある程度新入生を確保しなければ、そもそも認可されない、という実務を、真紀子が知らなかった、ということでしょう。さすが、庶民の生活を知らないお嬢様だ。

この人が言うように、旧福田派が握ってきた自民党文教族利権をぶっ潰したかった、というのが動機でしょう。さすが、人間を「家族と使用人と敵」に三分類するお嬢様だ。

およそ自民党政治における「改革」というのは、それぞれの派閥が伝統的に押さえてきた利権の分捕り合戦なんでしょうかね。小泉の郵政民営化にも、「田中派つぶし」という側面があったし。

私立大学のガバナンスというのも、不透明の極みです。

理事長は、理事の互選で選出される。

で、理事は理事長を選出した理事会の多数派が、外からリクルートしてくるのですよ。

これでは、出資する地方の金持ちにとって、事実上、自分の財産を政府からの補助金付きで子孫に相続させる手段として、学校法人という制度がある、という面を否定できません。政治家も一枚絡んでおこぼれにあずかる、という構造です。

************************************************************************

http://blogos.com/article/49669/

<私学運営には、毎年、巨額の助成金が国から支出されるので、こんな美味しい商売はない。新設大学の経営者である理事長以下理事のポストは、「利権屋」が独占し、文部科学省官僚の天下り先ともなる。教授以下の教職関係者には、マスメディアの記者、アナウンサーらの再就職先として確保される。利権に群がるのだ。

2つ目の問題は、この「大学利権」は、自民党文教族議員が、支配、掌握してきた。旧文部省時代から文部大臣は、概ね、福田派、三木派、中曽根派の3派閥から送り込まれてきた経緯があり、田中派や大平派からの配置は、少なかった。この結果、自民党国会議員の族議員化が進み、森喜朗元首相(元文相)が、「文教族のドン」と言われて、幼稚園から大学までの「私学助成利権」、日本体育協会を頂点とする「スポーツ振興利権」などを壟断し続けてきた。森喜朗元首相は建設相の経験もあり、大学施設やスポーツ施設建設・増設について、建設業界などと政治資金面で深い関係を築いている。これは、3年前に自民党が野党に転落してからも変わらなかった。

この森喜朗元首相の利権の牙城に、田中角栄元首相の長女・田中眞紀子文部科学相として送り込まれたのである。田中眞紀子文部科学相外務大臣のとき、その座から引きずり下ろすよう当時の小泉純一郎首相に進言し、辞任に追い込んだのが、森喜朗元首相だった。いわば、憎っくき宿敵、政敵である。

野田佳彦首相が、この関係を熟知していなかったとしたら、迂闊であった。田中眞紀子文部科学相は、森喜朗元首相の「私学利権」の支配、掌握下にある「新設大学認可問題」に直面して、過激反応してしまったのである。>