ガソリン減税こそ愚策

素人談義をいちいち批判してもしようがないのですが、
ガソリン税を廃止すればガソリン価格が下がる、
と素朴に信じているがあまりに多いのには困ります。

ガソリン価格を下げるには、需要を抑制するしかありません。
課税/補助金でそのことを行おうとすれば、
ガソリン税を上げるか、ガソリン使用への補助金を下げる必要こそあれ、
その逆は絶対してはいけません。

今、短期的にNYの原油相場が下がっています。
これは、景気低迷のため原油需要が下がると予想されているからです。
需要低下以外に原油価格を下げる方法はありません。

再三言っているように、ガソリン税を上げても、需要と供給の価格弾力性によっては、
必ずしも消費者負担が増えるとは限りません。
需要が供給より弾力的である、という短期的な状況を考えれば、
ガソリン税の引き上げはほとんど生産者に転嫁されます。

もちろん、これは世界中で協調的なガソリン税引き上げが行われる場合の話であり、
世界のガソリン価格を所与とすれば、
我が国単独では、ガソリン税を引き下げた方が消費者負担は減る。
しかし、世界中の政府がガソリン高騰対策として税金を引き下げれば、
ガソリン需要は増え、結果的にガソリン価格はもっと上がってしまいます。
(減税分の恩恵はすべて生産者に帰着する)
要するに、目先苦しくても、政府はガソリン減税などしてはならないのです。

「皆が駄目だということを止める」というのは、多くの場合、経済政策としては愚策なんです。

こういうポピュリスト・元政治家の言うとおりの政策を政府が実施したら、
それこそ「害の上に害を重ねるだけなのだ。まぁ、見ていてご覧」ですよ。

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http://www.liberal-shirakawa.net/tsurezuregusa/index.php?itemid=712

自由主義経済の下で、物価について政府ができることなど限られている。政府が物価を自由に操作できるとしたら、それは自由主義経済の否定なのである。ましてや物価高騰の原因が対外的要因のよる場合、政府のできることはきわめて限定的である。政府ができることは、政府が物価上昇に繋がるようなことを行わないことである。現在の自由主義経済体制では、政府部門も大きな経済的存在なのである。政府部門として歯を食い縛ってでも物価上昇に繋がるようなことを自ら行わないことである。政府の都合でガソリン税などの暫定税率を復活したことは、いちばん行ってはならないことなのである。

愚にもつかない“総合的物価対策”を打ち出すより、道路特定財源暫定税率を直ちに廃止することである。ガソリンの価格がそれだけで25円確実に下落する。その恩恵はもっとも公平な形で国民に齎される。総合的物価対策などでは、不公平かつ政治的思惑の“対策”となる。これが必要だという対策(一利)など、人によってとかく意見が分かれるものである。そんな一利を行うことより、皆が駄目だということを止める方がはるかに懸命なのである。「一利を興すは、一害を除くに若かず」なのだ。ぼんくら政治家や官僚が考える総合的対策(一利)など、害の上に害を重ねるだけなのだ。まぁ、見ていてご覧。