Oさん講演の感想

興味深かった3点。

1.今回の危機では最初からプレイヤーたちはバブルだと思って参加していた。いずれクラッシュするだろうけれど、それまでは荒稼ぎと腹を括ってやっていた。これに対し、昔の日本のバブルでは、バブルという認識がなく、みんな資産価格の高騰をファンダメンタルと思っていた。

2.「市場との対話」について。マスコミが金融政策の方向について打ち出す論調にしたがって市場が動き、結局、中央銀行がそれを追認するかのような政策変更に追い込まれることがよくある。この場合、元のマスコミの認識が間違っていることが多いが、間違った認識に基づいて形成された市場の期待を裏切って、「毅然たる」政策を維持することは必ずしもよくない。

3.クルーグマンが100兆円の財政支出を訴えているが、誤っている、財政政策は、市場が落ち続けている間に実施しても効果がない。今は下落を放置して、人々がこれ以上は下がらない、誰が見ても安すぎると思うところまで下げさせるべきである。財政政策の出番はそれからで、人々の期待がようやく上向きに転じたところで出動して初めて有効である。1930年代でも、1929年に始まった株価下落は1933年まで続き、たまたま大統領が変わって財政政策を出したタイミングが良かったから、ニューディールは成功したのである。