高齢者所在不明問題

何を今さら、という感がありますけれど。

調査対象を90歳以上にしたら、不明者激増ではないかな。元々、死亡届が提出できない状態が「長寿」として扱われている例が相当あるというのが実態なのでしょう。

http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tochigi/100804/tcg1008040231003-n1.htm

<東京都で相次いだ高齢者の所在不明問題について、同課は「レアケースだと思う。同居人もいたと聞いているので、所在が分からないことは一般的にはあり得ない」と指摘。ただ、「家族に『本人が会いたくないと言っている』と言われれば、それ以上無理に踏み込むのは刑法上の問題がある場合を除いて難しい」と、確認作業の困難を語る。

 さらに、独居老人の場合は「地域の民生委員が訪問し、不幸があった場合は遅くても1カ月ぐらいで分かる」といい、「市町が敬老の祝いなどをする際、所在をきちんと確認している」とも説明。県としては、改めて高齢者の所在確認を市町に指示する考えはないという。>

「会いたくない」と言っている場合に踏み込めないのは、児童虐待の場合と同じでしょうね。

確かに、独居老人の場合は大した問題ではないでしょう。死ねば、いずれ民生委員等が見つけてくれるから。

問題は、失踪者と、老人だけ世帯の場合。

90歳超の超高齢者の実態は、かなりの割合で失踪者ではないかと。たとえば杉並の113歳女性ですね。

足立区の111歳のように、高齢の子供が超高齢の親の面倒をみているような老老介護の場合も、いろいろな理由(年金欲しさ?)で届けていない可能性がある。親子でなく兄弟姉妹の場合も考えられる。

実家(東京都)の近所に住んでいた高齢姉妹がそんな感じでした。いつも妹しか姿を見せない状態が10年以上続いていたのに、姉が亡くなったとは聞かなかった。もう20年ぐらい前の話だが、今はどうなっているんでしょう。

http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2010/08/84-f2ec.html

<この国では、住民票の届け、死亡届、出生届など、識字力のある人によってめでたく届けられることが前提となっている。家族関係が壊れていたり、届けるという考えも及ばないような人、字の読み書きができないことなどにより届けるための能力がない人が、実際に存在するのかどうなのか、役所は知ることができないし、よく考えればまれでこそあれ、ありうることだ。>

この識字力の問題、語ることがタブーになっていると思うけれど、超高齢世代にはけっこうあるのではないでしょうか。

今の先進国では識字率99%以上ということになっているけれど、1%未満の人はどのように暮らしているのか。

次のクロード・シャブロルの映画のネタが、まさにこれなんです。このブログ記事には書いてないけれど。

http://springroll.exblog.jp/11955101/

<小説版では出だしの1文で主人公の抱える問題と、その結果起きたことが明らかにされてましたが、映画版は途中で主人公の抱える問題が判明します。このシーンは印象的で、必死でメモを読もうとする家政婦ソフィーのもどかしさにやるせなくなり、これまで何度も彼女は苦しい思いをしてきたであろうと想像できるのですが、その結果、劣等感だけがどんどん膨らんでしまったのが彼女の不幸でした。>

ネタバレごめんなさい。でもこの映画、あまり有名でなく、こういう機会でもないと話題にしようがないので。