ルツェルン

イメージ 1

ルツェルン新旧市街の間にかかる、花で飾られたカペル橋)

9月11日(土):Titlis山に登る。

本日は予備日というか、予定のない日である。元々、この日に帰国便に乗り、日曜日には成田に着いて月曜日から出勤したかったが、土曜日発は航空券がとても高くなるので、一日見送った。

朝、ホテルで朝食を取り、部屋へ戻るエレベーターの中で、インド人らしき家族連れのおじさんに「ティトリスはいいぞ」と勧められた。何気ない会話であるが、ほかに名案もないので、行ってみることにした。

ゆっくり10時ごろホテルを出る。ルツェルン市には観光名所が二つある。一つは、旧市街と新市街の間にかかる「カペル橋」。杭打ち式の橋は花で飾られ、中ほどにきのこの形をした八角塔がある。まずはこの写真を撮る。もう一つの名所「ライオン記念碑」は夕方に寄ろう。

11時10分のEngelberg行きに乗る。これは登山電車で、途中から急勾配を上って1時間ほどで郊外の保養地に着く。土曜日のせいか、電車は大混雑であった。往復32フラン。

駅でロープウェイの往復切符を買う。往復82フラン。とにかく、何かと物価が高いのがスイスというところ。

駅からシャトルバスが出ており、2分ほどでロープウェイ乗り場へ。ここには「回転式ゴンドラ」という珍しい乗り物があり、山頂付近の最後の経路で乗った。要するに、立っている足元が一定時間かけて回転するのである。古い例えだが、「上野精養軒」を思い起こしていただきたい。

3000メートルを超える山頂は雪と氷で覆われ、一種の遊園地になっており、さまざまな雪遊びを体験できる。もっぱら家族連れ向けの施設という感じで、大人にとって面白いものではなかった。しかし、大変な人気で、山頂は大混雑。ドロミテ、ツェルマット、グリンデルバルドではほとんど見かけなかった中国人、インド人であふれかえっていた。どうも団体が来ているようだ。

この2、3日、マッターホルンユングフラウの絶景を見ているので、今さら、氷河の山をもう一つ見てもなんら感動はない。展望台からはアルプスの山々が一望できるが、表示板に「WetterhornやEigerはここ」と書いてあっても、目で特定することは難しかった。とはいえ、82フランもかけて上ったのだからすぐに降りるのももったいなく、結局、2時間半ほど山頂にいた。2時半過ぎに食堂でカレーを食べたが、本格的なインド式とはいえ、肉の入っていないヘルシーな味で物足りず、しかも飲み物込みで17フランと、あいかわらずぼったくりであった。

3時半ごろ麓に降り、4時過ぎの電車で5時過ぎにルツェルンに帰った。昨日、音楽祭会場のカフェテリアで食べたタイ・カレーが美味だったので、今日は中国式煮込みを食べてみたが、今度は不味かった。

音楽祭だが、本日はTilson-Thomas指揮サンフランシスコ交響楽団によるコープランドの「オルガン協奏曲」とマーラー交響曲第5番。演目は悪くないが、買えるチケットで一番安いのが190フランでは、到底入る気にならない。190フランはだいたい190米ドルと同じだが、アメリカに住んでいる時に、アメリカのオケに高くても80ドルぐらいしか支払わなかった金銭感覚があり、とても切符を買う気にはならなかった。もちろん、今のアメリカのオケは現地でも100ドル超えるけれど、それでも、オーケストラのコンサートには原則、1万円以上出さないのが私のポリシーである。

というわけでそのへんをぶらぶら。駅の地下街のスーパーをのぞいてみた。さぞ物価高であろうと思ったが、さにあらず。野菜でも果物でも、肉でもパンでもワインでも、結構安いのである。残りのフランを有効利用しようと、パン、果物、水、ワイン、チーズを買って、夜食とすることにした。まともな値段だったのは、ボルドー・ワインのハーフ9.9フランぐらいで、あとは全部1フラン程度。道理でやたらに中国人、韓国人の若い客が多い。レストランで食事して、あまり口に合わないのに高い金額を支払わされるより、スーパーで安くておいしい食材を仕込もうというのだろう。

スーパーを出てのんびりと「ライオン記念碑」まで歩く。旧市街とはいえ、大して由緒ある雰囲気はない。自動車が禁止されていると『地球の歩き方』に書いてあったが、そんなことはなく、たくさん走っていた。

「ライオン記念碑」はフランス革命時にフランス王室を守ろうとして命を落とした786名のスイス人傭兵を悼んで造られたものだそうである。槍で傷ついたライオンは彼らの象徴である。

ホテルに帰り、ワインを開け、旅行記を書く。明日は帰国日だ。ルツェルンからチューリヒ空港へは直通電車がある。駅の混雑を避けるべく、切符を昼間買っておいた。