貴重な中国擁護論?

ふむ。

珍しい中国擁護論です。

ネットで中国批判がほとんどなのは言うまでもなく、マスメディアでも中国を擁護する言論はあまり耳にしませんから、ある意味、非常に勇気ある議論です。

コメント欄を見ると予想通り、ほとんど批判です。もう少し時間が経てば炎上かもしれません。

(私は、他人様のブログに批判的なコメントを書いたりしません。批判したいなら自分のブログでやれ、と考えています。だからコメント欄も設けていません。)

しかし、結論的には、あまり賛成できません。

彼は、中国を民主化するとおそらく国がバラバラになり、中国にとってだけでなく、周辺国や世界にとっても不利益であるから、中国政府のやり方を理解せよと説いています。

まず、「民主化すると国がバラバラになる」という言い分を認め、さらに「バラバラになるのはよくない」という主張も認めて議論しましょう。

それでも、日本や各国に中国のやり方を認めよ、と主張しているなら、間違っています。

中国の分裂が各国の不利益になるからと言って、ノルウェー政府がノーベル賞委員会に圧力をかけて平和賞を撤回させたり、日本が尖閣諸島に関する中国の言い分を認めたりすることなど、ありえないことです。不利益になるから認めろ、なんて言うのは、それこそ卑劣な議論でしょう。

そもそも、中国人のレベルが低いとか愚かとか悪いとか言っている人は、ほとんどいないと思います。当ブログも含めてみんなが批判しているのは、中国国家であり、中国政府です。

誤解してほしくないのですが、こういうことを言っている私が、中国人留学生の前で中国を批判することは一切ありません。それどころか、中国人には細心の注意をもって対応している。そもそも、留学生というのは、留学先の国に対して友好的であるに決まっています。だからこそ日本に来ている。彼らを苦しめることは日本の国益に反します。

しかし、留学生というものは、外国で自国を批判されると、もっともな言い分と心で思っていても、意固地になって反論してしまうものです。だから、そういう雰囲気にならないよう、慎重に話題を選んで話すのが、教師の技量なのです。

とはいえ、国家がおかしなことをして、その結果として、外国にいるその国の国民が肩身の狭い思いをしてしまうのは、往々にしてあることです。

例えば、数年前、ある問題で日本の民間団体がアメリカの有力新聞に大々的に反論広告を出し、それがやぶ蛇となって、かえって米国議会下院で対日批判決議が可決されてしまい、日系人が肩身の狭い思いをすることになった、なんてことがありました。

外交関係を考えれば、国家は安易に外国批判をするべきではない。しかし、民間レベルでそういうものが出てきてしまうことはよくあり、必ずしも悪いとは言えない。

中国は、外国で民間レベルでの批判を招いてしまうことを、民間ではなく国家がわざわざやっている。これは愚かであり、批判されても仕方ない。

次に、中国が分裂することが本当に中国にとって不利益かどうかです。

中国が分裂して、チベット族ウイグル族朝鮮族、その他少数民族が独立国家を作ることが悪いなんて、誰にも言えないでしょう。

もちろん、漢人にとっていいことではないかもしれませんが、外国人である我々が現行の国家を擁護する正当な理由にはならないと思いますよ。

いったん分裂したらずっと戦乱が続くと予言するのは、それこそ現行の国家体制を正当化する為にする議論のように聞こえてしまいます。

例えばソ連が分裂して周辺民族が独立し、その後、チェチェンのように血みどろの抗争を続けている地域がある。しかし、だからといって、最初から周辺民族は独立すべきではなかった、などとは言えません。

<被害妄想だとしてもそう考える中国人>って誰のことでしょう。抑圧されている少数民族を含んでいるのか、いないのか?そもそも「抑圧されている少数民族」なんて、いないのでしょうか。

漢人だって、本当は民主化したいと思っている人が多いかもしれないと、考えてもいい気がしますけれど。

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http://news.livedoor.com/article/detail/5069784/

<中央の統制を弱め、中国をバラバラにする簡単な方法は、明日から民主主義になることです。今でさえ統制の効きにくい地方の軍閥は、不正な票集め、腐敗などを通じて自らの権力を蓄えて行き、自らの権益のために争うでしょう。文化も民族も違えば、国内でナショナリズムが台頭し、第一次世界大戦前の欧州のように憎悪と敵意に充ち溢れていくかもしれません。それだったら、言論封殺、民主化弾圧などを含む強権支配であっても、安定して成長できる現体制の方がマシだと考える中国人は多いのです(僕は言論封殺、民主化弾圧を容認するわけではありません。念のため)。

日本のように民主主義が素晴らしいものだと幼少の頃から教えられている先進国に住んでいると、進歩した社会は民主主義にならなくてはいけないと思いがちで、そうならない社会を劣ったものと見がちです。僕も中国の民主化は中国人をより幸せにすると信じています。ただ、中国は直ちに民主化できるほど小さくありません。中国は巨艦です。動くにしても止まるにしても日本の約10倍の慣性がかかります。よく決まり文句で「旧態依然とした日本のシステム」というのがありますが、それの10倍ぐらい動けないのが中国です。また、動き出したものは、日本の10倍ぐらい止まりにくいのです。

人口を日本の10倍の13億人、国土が日本の25倍だったと仮定するとその難しさがわかると思います。この規模の国が急激に民主化した例は世界にないにもか関わらず、「出来るか出来ないか分からないけどやって見な。失敗したら大変なことになるがな。」というのは無責任だと中国人は感じているでしょう。中国の責任ある地位にいる人は最悪のシナリオを避けるために日々神経をすり減らしているのです。そういった意味で、中国の台頭を好まない人たちが、民主化を利用して中国を分解しようとしているのです。少なくとも被害妄想だとしてもそう考える中国人が多いのです。>