100%準備銀行

ついでですから、「100%準備銀行」というものについて語ります。

まず「100%準備銀行」って何?

昔、日経で読んだ、伊藤元重先生の解説をネットで見つけました。

要するに、普通預金の運用先が中央銀行や政府など安全なところで、運用期間が短ければ、決済資金として利用できる、ということですね。

銀行が普通預金で受け入れた資金を、長期的な貸出や債券、株式の購入に回さず、経営不安定な企業の運転資金にも貸し出さず、短期国債で運用していれば、現金と同様、「おろさないで」活用できるということです。

とすれば、普通預金の名義を、お金を使わない親世代から使う子世代に移して、銀行が短期国債などで運用していれば、子世代が、おろさずに、消費のために使えるということです。

しかし実際には、普通預金は準備預金ではありませんから、今のままでは、親名義から子名義に変えても、消費を刺激することはできないのではないかな。

そうでもないかな。銀行のバランスシートで、左側は大きく短期国債になっていたりして。

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http://www.asahi-net.or.jp/~pv3n-situ/pg97.html

<前回述べたように、通常の預金にはリスクが伴う。
預金取り付けや不良債権拡大に伴う銀行の破たんである。
こうした問題を避けるため、100%準備銀行という考え方が提起されている。
通常の預金は銀行が預金者から預かった資金の一部を中央銀行に支払準備(リザーブ)として預け、残りを貸し出しなどに回す。(部分準備)。
このため、取り付けなどに直面すると、現金準備の不足で銀行の経営が続けられなくなり、預金口座を利用した決済にも支障をきたす。
100%準備預金とは、金融機関が預金者から預かった預金をすべて中央銀行に支払準備として預ける預金である。
預金取り付けや金融破たんの心配はない。
預金者が預けた預金はすべて中央銀行リザーブとして安全に管理されているのだ。
そして、この預金口座を利用して代金の振り替え、キャッシング、クレジットカードの引き落としなど、様々な決済や支払が可能となる。
100%準備預金とは、決済手段としての利用のみを考えたきわめて安全な資産なのである。
さて、前に述べた決済性の資産としてのMMF(マネー・マネジメント・ファンド)は、その構造がこの100%準備預金ときわめて似通っている。
仮にMMFの運用先が短期国債であったとしよう。
その場合、MMFは資産としてきわめて安全なものである。
短期国債であるので、価格変動リスクもほとんどない。
短期国債中央銀行への準備預金のどちらが安全であるかという議論はあるのかもしれないが、その違いはここでは余り問題にならない。
100%準備預金が日銀準備の振り替えを利用して決済するものであるのに対して、短期国債で運用するMMFは短期国債の振り替えを利用して決済するものである。
どちらの仕組みも、間を仲介する金融機関の経営のリスクからは独立であるし、部分準備を前提とする通常の預金貨幣が抱える信用乗数による量の変動の問題は起きない。
中央銀行は各国の貨幣システムの中核的役割を演じている。
100%準備預金はその究極の姿であるとも言える。
これに対して、MMF中央銀行のシステムとは離れたところに出来た仕組みだ。
技術革新による貨幣の進化は、中央銀行とは離れた存在である私的貨幣(プライベートマネー)の出現を促す。
諸々の電子媒体を利用した貨幣がそうであるが、MMFを貨幣として利用することも広い意味で私的マネーなのである。>