日米同盟見直し論

今、再放送やっていますけれど、面白いですね。

渡辺昭夫って、駒場の教養科目一覧で名前見た覚えがあるだけだけれど、こんな活躍していたんですね。

15年前に見直し論のレポート書いたらアメリカの圧力でつぶされた、という話です。

鳩山が試みてコケた安保見直しですけれど、あれ、まだつぶれずに続いていた可能性もあったと思いますよ。

やはり、尖閣騒動、北方領土騒動が決定的だったと思います。あれで、日米安保が揺らぐと中露がヘンなことをするという印象ができた。

米中露が示し合せたのかな、という気もします。世界情勢は複雑怪奇、ですからね。

日本が外交的・軍事的に勝手なことを始めると、二次大戦の連合国が復活するということかな。

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http://www.nhk.or.jp/asupro/country/country_07.html

<防衛問題懇談会は、外交や防衛を専門とする有識者9人で構成されました。議論のまとめ役となったのが、東京大学名誉教授の渡邉昭夫さんです。渡邉さんたちは毎週のように集まり議論を重ねました。当時の議事録によると、冷戦下の東西対立構造が崩壊したことを踏まえ、日米同盟に頼るだけでなく国連やアジア各国とも連携し地域の安定を図る「多角的協力」に、日本が主体的に関わるべきだという意見が相次いでいます。また、日本が負担している駐留アメリカ軍経費の見直しにも議論が及び、国際社会からアメリカ追随と指摘されることもあった日本の外交姿勢を変えようとする意気込みが伺えます。渡邉さんは、「アメリカから言われて賛成だ反対だと追認するだけではいけない。日本人が日本人自身の判断に基づいて自発的に物事を考えるべきだということを言いたいために、リポートでは”能動的”という言葉を使いました。当時としては新しい言い方だったと思います」と話します。半年にわたる議論の末にまとまったリポートでは、基本方針の冒頭に「能動的な安全保障政策」が掲げられ、次いで「多角的協力」、そして3番目に「日米関係」が記されました。

アメリカの反発
ところが、これが、アメリカの思わぬ反発を招くことになります。ある日、渡邉さんのもとに1通の英文が届きました。アメリカの国防大学の関係者が書いたもので、「懇談会の報告書は、内容によっては日米同盟の価値を確実に低下させるものだ」という厳しい表現が盛り込まれていました。リポートが日米関係の軽視につながりかねないと受け止められたのです。そのときの印象について、渡邉さんは「正直言って少し驚いた。そういうことをやっていけば、日米同盟が危うくなりかねないという警告だったわけです」と話します。


さらに、リポートの真意を質そうと、渡邉さんのもとを1人のアメリカ人が訪ねてきました。当時、アメリカの国防総省から日米同盟の研究を依頼されていたマイケル・グリーン氏です。後のブッシュ政権でアジア政策のブレーンとなるグリーン氏は、当時のアメリカの動きについて、「国防総省は日米同盟の状態をかなり心配していました。私は渡邉さんを訪ねて、日米関係より先に多角的協力が記されているのはなぜかと尋ねました。私は、このリポートが書かれたことで、アメリカは対日戦略により力を入れなければならないと痛感させられました」と話します。このあと、アメリカは、アジア太平洋の安全保障戦略を見直し、これに沿って日米同盟の強化に向けて動き出しました。一方、渡邉さんたちのリポートは、自民党が政権に復帰するなど政治状況が変わる中、日本の外交政策に大きく反映されることはありませんでした。

・どう築く“対等な日米関係”
「対等な日米関係」を掲げる鳩山政権。普天間基地の移設問題では、前政権との合意を守るよう迫られるなど、このところアメリカの強い姿勢に直面しています。渡邉さんは、鳩山政権が掲げる「対等な日米関係」のように、日本が自主的に外交を追求する方向性は、基本的に正しいと考えています。その上で、15年前の教訓について、「アメリカの日本に対する見方は、非常に複雑だと言えます。日本が自発的に発言し行動することについて、歓迎するという側面と、自分のコントロールの効かない日本になるのではないかと心配になるという側面の双方があるのです。その点は、私たちとしては非常に読みにくいもので、『おや』という反応がアメリカから返ってくることが間々あります。このことを常に念頭に置いておくことが、やはり必要だと思います」と指摘します。

普天間基地の移設問題を見てもわかるように、アメリカは、日本の外交姿勢の変化にはひときわ敏感です。日米同盟を基軸とし、日本の姿勢に理解を得ながら「対等な関係」をどのように築いていくのか。来月の日米首脳会談を控え、鳩山総理大臣の外交手腕が問われることになります。>