マウントバッテン家

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110501/erp11050109400002-n1.htm

<世界から王様がいなくなってもトランプのキングと英国王だけは不滅だ」とたたえられる英王室だが、実は存立基盤は危うい。

 現在の王室(ウィンザー朝)はドイツ系の異民族王朝であり、2000年続く日本の皇室とは違う。>

いかにも産経らしい、浅墓な物言いだなと思い、ちょっと調べてみました。

現在のウィンザー朝がドイツ系であることはすでに確認しましたが、旦那さんのマウントバッテン家はどこから来たのかと思ったら、これまたドイツなんですね。これは産経の言うとおり。

要するに、現在のフィリップ殿下は初代の孫で、初代はオーストリアの貴族でありながら英国に帰化した人。その娘がギリシャ王子に嫁ぎ、生まれた一粒種が、ギリシャ王継承権を辞退してイギリスの家を継いだらしい。

ということは、フィリップの父はギリシャ王子であり、息子は父の姓を継ぐという考え方からすれば現在のマウントバッテン家はおかしいけれど、養子みたいな形式も認められているということでしょう。

実際、チャールズ皇太子の姓は、マウントバッテン=ウィンザーであり、父の性を継ぐというルールからすでに外れている。父のフィリップ殿下もやはり父ギリシャ王子の性を継いでおらず、その意味ではイギリスの家の継承ルールはかなりいい加減ということでしょう。

つまり、イギリスを例として女系継承に反対するのは、適当ではないということだ。

英国王家の例を見て学べることは、王政なんてのは、女系を認め、かつ国際結婚を広範に行って初めて維持できる、ということではないでしょうかね。

東アジアの場合も、日中韓で王家の子供を交換し合うことができたはずですが、中華思想がありますから、日本の王子が中国皇帝の養子になって継ぐなんてことはできなかったわけです。

もう一つ、ヨーロッパと日本の違いは、欧州の王家が独自の財産を持つのに対し、日本の皇室には財産がないことです。

これまた歴史的にそうで、鎌倉期以降、荘園制の崩壊に伴い皇室の領地はなきに等しく、幕府から給料をもらって生きている状態だったわけでしょう。

しかし、これが皇室が長続きした理由の一つであり、固有の領地を持っていればそれを守る武力をそれなりに保有せねばならず、抗争に巻き込まれれば全滅の可能性もあったけれど、実際には無産で非武装だったおかげで、政治的憎悪の対象となることを免れてきたと言えるでしょう。

これに対し、英皇太子は、コーンウォール公を兼ねており、それには固有の領地が付いている。ウェールズ公というのは、王位継承権第一順位という肩書だけなのですね。

このように大きな違いはあるけれども、日英の王家のあり方が収束しつつあることは確かでしょう。今は、外国の貴族が入って王位を継承するなんてことはイギリスでも国民に認められない。日本で、遠い昔に分かれて、戦後は廃止された元宮家を、復活しようなんてのが難しいのと同じです。やはり、王子や王女の結婚対象としてのアピールの有無に、王家の将来がゆだねられている不安定さは、日英を問わず同じでしょうね。

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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%B0%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%86%E3%83%B3

<1917年7月14日、ルイスはバッテンベルク家の称号の放棄と、マウントバッテンへの家名変更を表明。3日後の7月17日、ジョージ5世により、ミルフォード=ヘイヴン侯爵を授爵された。ルイスと妻ヴィクトリア、そして当時既にギリシャ王アンドレオスと結婚していた長女アリス以外の彼の子供たちは、以後マウントバッテン姓を名乗った。アリスの一人息子で、のちのエディンバラ公フィリップは、ギリシャデンマークの王位継承権を放棄して英語名を名乗ることになった1947年、母の実家の家名をとりフィリップ・マウントバッテンとした。>