東電賠償問題

いろいろ批判があるようですが、政府案、まあまあじゃないですか。

私の意見は元々、東電による全面負担。

http://blogs.yahoo.co.jp/mazepparrigo/34796469.html

しかし、東電だからこそ全面負担できるかもしれないが、他の電力会社が同様の問題を引き起こした場合、単体では耐えられないでしょう。だから、一部、奉加帳方式も止むを得ないと思います。田舎にある原発だろうと、大事故起こせば東電管轄内の原発と同規模の損害をもたらすと考えられますからね。

問題は、東電単体負担とした時に、十分な補償を行うために発生する負担を電力料金にどの程度転嫁すべきかです。

星さん他の学者は、あくまでも東電単体で責任を負うべきであるとしていますが、次のような言い方は、電力料金収入で払えるはず、と言っているように聞こえます。

http://diamond.jp/articles/-/12041?page=2

<これに対して、東電の負債側はほとんど長期の負債であり、損害賠償も含めて、ただちに支払いを強制できる種類のものではない。さらに、資産側はおもに将来の電力料金収入であり、短期間に大きく変動するものではない。実際、東電は地域独占なのでその収入はよけい確実である。すなわち、銀行に見られる期間構造のミスマッチは、東電にはないのである。>

一方、久しぶりに復活のbewaadさんは、政府案で良いとしている。ある程度、奉加帳方式を取り入れて負担を拡散させないと、電力料金の値上げ幅が大きくなりすぎるか、十分な値上げができなければ補償が不足するかのどちらかだからです。

http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110425/p2

間違った考えの最たるものは、東電の株主、経営者/従業員、債権者の負担でなんとかしろ、というものです。

http://news.livedoor.com/article/detail/5534557/

<まず、経営陣、株主、貸し手の金融機関がそれぞれの責任を果たさなければならない。経営陣は総退陣すべきだし、株主価値を残したまま国民が負担を求められることがあってはならない。金融機関も自分達がリスクをとって貸したお金を、国民に負担をさせて回収してもよいとは思わないだろう(思うかもしれないが、それは許されない)。>

もちろん、減資・債権放棄が必要でしょうし、経営陣も総退陣すべきです。しかし、この問題の根源は、これまで原発が安価な発電法と考えられ、その社会的コストが価格に転嫁されて来なかったことにあります。

政府案ですら、電力料金値上げ幅は東電管内で16%、他の電力会社では2%にすぎません。この程度の電力コスト増は社会的に許容しうる範囲内だと思いますが。

「日本の力を信じてる」って、16%の電力料金増を受け入れられないというような国民ではないよね?

「政府負担で補償、その財源は国債」という解決策だけは、絶対にしてはいけない。

そういうことを提案しているとすれば、暗黒卿は文字通り悪役、ダースベーダーですよ。

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http://www.asahi.com/business/update/0502/TKY201105020519.html

東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う損害賠償をめぐり、政府内の試算が明らかになった。賠償総額を4兆円、東電の負担を約2兆円と想定して、2020年度までの東電の業績を試算。賠償は最終的に電力各社が10年にわたって負担する内容だ。東電管内は電気料金が約16%上がる前提になっている。

 賠償の枠組みの案は複数あるが、最も東電の経営環境を厳しくみた案が有力。現在、関係閣僚らが最終調整を続けている。

 賠償は、今年度から1兆円ずつ、4年で完了すると仮定している。賠償額の上限設定については、枝野幸男官房長官が否定しているが、めどとして賠償額を確定させないと東電の11年3月期決算をつくることができないため、上限を設けたとみられる。4兆円を超える場合には、言及していない。

 試算によると、賠償は東電が担う。東電は自己資金で足りない分について、電力各社で新たにつくる「機構」から支援を受ける。機構には国も公的資金を拠出。公的資金は、東電を含む電力各社が毎年4千億円を10年間にわたって返済する。

 内訳は、東電は毎年1千億円を特別負担金として拠出。残る3千億円は原発保有する電力9社(東電を含む)が負担する。各社は電力量に応じて負担し、全国の電力量の約3分の1を占める東電は、約1千億円の負担となる。これらの賠償資金を確保するため、東電管内は電気料金の大幅な値上げを想定している。

 東電以外の8社は、約2千億円を負担。これは、約2%の料金値上げ分に相当する。4兆円の賠償額の負担割合は、東電が約2兆円、東電以外の8社が計約2兆円になる見込みだ。

 機構は東電が発行する優先株1.6兆円分を引き受ける。賠償負担による東電の信用低下や東電債の格下げを避けるためだ。

 また、福島第一原発1~6号機の廃炉費用を1.5兆円、火力発電の燃料費増を年約1兆円とみている。リストラでは、来年度までに年1500億円、計3千億円の不動産や株式売却を進める。

 東電の決算は、11年3月期は約8千億円の純損失(赤字)に陥るが、赤字は4年間で解消。14年度以降に社債発行を再開し、18年度には配当再開も目指すとしている。(神谷毅、中野和郎) >