これは自己責任でいいだろう

生肉提供に関して罰則強化、などとまたポピュリスト政権が言い出しているようですが、有害無益ではないでしょうか。

これまで十数年、中毒患者そのものがゼロだったんだから、規制強化の結果、生肉提供が事実上行われなくなったとして、利益より損失の方が大きいのではないか。

もちろん私はユッケを注文したことありません。食べられなくなって困るわけではないのですが、もともと、庶民的なメニューでしょう。食べられなくなったら、国民の経済厚生が下がると思いますよ。

元々、生食用として流通していた牛肉は皆無だったのに、焼き肉店ではさんざん出していたというのは、「生食用」として出荷した場合でも中毒が起こる可能性は皆無ではないからですよ。その場合、卸店は大きな法的、社会的罰を受けるでしょう。それよりすべて加熱用として出荷して、生で食べる場合には自己責任、ということにしておけば、卸売店の責任はなくなる。

これで「十数年間で死亡事故4件」ということになったわけですが、この間、ユッケを焼き肉店で食べた人は延べ1億人は下らないでしょう。1億人のうち4人、ということであれば、規制強化して食べられなくするより、自己責任で現状を維持した方が、メリットは大きいと思われます。すでに問題を起こした焼き肉店は、事業を維持することが難しくなる程度の社会的制裁を受けています。いったん食中毒を起こしたらどれほど社会的制裁が厳しいか、同業者は学んだはずであり、衛生管理のためのインセンティブとしては、十分と思います。

だいたい日本人は、日ごろ政治家や公務員をバッシングしておきながら、いざという時に政府にいろいろ求めすぎる。「小さな政府」が良いなら、政府に多くを求めるべきではありません。

ところで、食肉卸店の落ち度である可能性が高いにもかかわらず、業者の名前がほとんど報道されない理由は、なんとなく想像できます。

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http://news.livedoor.com/article/detail/5539906/

<読売新聞なんか「加熱用の肉をユッケに使用」とか鬼の首を取ったように書いてるけど、そもそも定義上の生食用牛肉は事実上流通しておらず、全国の焼き肉屋でユッケに使ってるのも加熱用牛肉だという。ならこの店だけ責めるのはおかしい。

だいたい、食中毒被害者が広範囲の店舗にわたっていることから、店に入る前、卸が冷凍真空パック詰めにするまでの段階で原因菌が混入していたのは明白。焼き肉屋側は卸がトリミングした後のパック済み食肉を購入し調理に使っていたわけで、第一に責めるべきは東京・板橋の食肉卸業者「大和屋商店」なのは自明だ。

焼き肉屋に対する報道はメディアスクラムもいいところで、社長を追い回し謝らせたり土下座させたりと、下品なことこの上ない。土下座させたって何の解決にもならないだろう社長を精神的に追い込むだけで。記者会見だけでいいだろ報道は。自殺すれば満足するのか、視聴者もワイドショーも。

反面、「大和屋商店」に対しての報道は、まったく不気味なくらいなにもない。昨日警察の家宅捜索が入ったが、その事実を伝えているだけ。追い回して土下座させるどころか、社長名すら出てこない。

そこが不思議。これはなぜでしょうか。「食肉」だから? その報道落差のほうが、食中毒そのものよりよっぽど危機的な問題だ。そちらは検証しないのか。

ほとんど影響ないレベルの放射線で大騒ぎして風評被害を呼んだり水を買い争った方々は、今度はユッケの食べ控えですか。ご苦労様です。野菜や水はもういいんですか。

今後も原発では予断を許さない状況が続くと思うけど、そちらの情報はもう飽きたのかみんな。それでいいのか。状況変化に応じてまた放射線量が上がれば短絡的に大騒ぎするのか。

――まあ視聴者・読者側がこうなら、メディアスクラムも仕方ないのかもしれないけれども。メディアが尻馬に乗ってどうするという気持ちを、私は個人的にどうしても持ってしまう。 >