夫の厚生年金二等分

これ、夫の立場としては納得できないところが大きいでしょうが、そもそも結婚というのは財産をいったん共有して、その後別れた場合は事情にかかわらず等分する、という先進国では共通の流れである最近の考え方の反映でしょう。

結婚とは、資本主義社会におけるほぼ唯一の社会主義の領域です。私有財産は否定されるんですよ。

欧米では離婚したら財産はだいたい等分割です。そこまで考えてそれ以上の幸せが得られると思えない場合に、男は結婚に踏み切るべきではないw

実際問題として、この解決策には、厚生労働省皮算用が垣間見える。

これまでは夫が先に死ねば妻は75%もらえ、妻が先に死んだ場合は一人分の基礎年金がなくなるだけで、夫の年金はそのままもらえたわけです。

しかるに新しい制度では、どちらが先に死んでも50%しかもらえない。いずれ夫婦のどちらかが先に死ぬわけですから、これまでに比べると支給額が全体として減る計算になり、年金財政の持続可能性に貢献するというわけ。

「不利益が生じないように詳細を詰めていく」というのは、夫の年金が半分、というのはあんまりだから、それこそ75%とかの落とし所を考える、ということでしょう。

うまく考えたな。

筋論としては、結婚しなかった女性には自分の年金しかないわけですから、夫と死別した妻に基礎年金しかなくなっても当然、という考え方もあるでしょう。

ところがこれまでは夫の分の75%もらえたわけです。これを50%まで下げるというのは、生涯独身女性との公平の観点からして妥当という気がします。

結婚した女性に対してだけ年金上の優遇措置を講じる正当性はどこにあるのか、という問題ですからね。

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http://news.livedoor.com/article/detail/5910149/

<厚生年金に加入している夫を持つ専業主婦(第3号被保険者)は、保険料を支払わなくても基礎年金を受け取れます。

専業主婦が受け取る基礎年金は、夫が保険料払っているわけではなく、働く女性や単身者などの厚生年金加入者全体で負担をしているのです。

これに対し、妻も保険料を支払わなければ基礎年金を受け取れない自営業者や、女性会社員から不公平という批判が出ています。

今回の見直しは、専業主婦も保険料を負担したと「みなす」ことで不公平感を和らげる狙いがあるそうですが、本質的な問題解決にはなっていないと思います。

結局、夫が専業主婦分の保険料を追加で納付するなどの方向が難しいので、外形だけを変えようとしているのですね。

現行制度では、夫が亡くなった場合、妻は夫の厚生年金の75%を遺族年金として受け取ることができますが、新制度に見直されると自分の分だけしか受け取れなくなるため、50%に減ってしまいます。

夫の方も妻に先立たれた場合には、給付額が減ってしまうことになります。

厚生労働省は、このあたりも不利益が生じないように詳細を詰めていくようですが、小手先の改正はやめてほしいですね。 >