かんぽ生命の定期年金の例

年金の負担額の現在価値と給付額の現在価値が等しい、という永久不滅の真理を疑う人がまだいると思うので、例を挙げましょう。

これは簡保が売っている、10年定期年金です。負担と給付の関係はどうなっているでしょうか。

http://www.jp-life.japanpost.jp/products/lineup/nenkin/prd_lu_nkn_teiki.html

今年ちょうど60歳となるように、1952年生まれとし、60歳から10年間毎年90万円もらえる年金の一時払い保険料を計算してみてください。

http://jp-life-act.japanpost.jp/products/simulation/nenkin/tk/form.html

887万円と出ました。10年間で900万円もらえるから、元が取れているように見えます。

しかし、この900万円を、たとえば金利2%の複利で割り引いて現在価値を求めてみます。EXCELがないと計算できませんが、多分、887万円より低いです。

この給付の現在価値と887万円の差額が、簡保生命のもうけであり、従業員の給料なんです。

それだけではありません。あなたは10年経つ前に死んでしまうかもしれません。そしたら、残った金はファンドに組み入れられ、他の顧客への給付に用いられます。死亡確率を考慮すれば、もっと高い割引率で現在価値を計算しなければならないのです。

年金の運営費用と死亡確率を考えれば、現在価値で見て、必ず「負担>給付」となるのです。

厚生労働省が現在価値の計算で名目金利を用いないのは、ここにも理由があります。名目金利をなんとか想定して計算すると、必ず「負担>給付」となってしまうので、表に出せないのです。

これは厚生労働省が腐りきった官僚だからではなく、数学的にそういう真実になっているからなのです。