ハーバード白熱日本史教室?

私もこの本立ち読みしましたけれど、授業する先生としてでなく、歴史学者としての評価はどうなのかな~、と思ってしまいました。
 
日本にいたら、さんざん叩かれてつぶされていたかもしれません。だから、そうやってこういう人をつぶす日本がダメなんだよ~、というのもわかるけれど、主張内容の評価は別でしょう。
 
テーマは日本史なんだから、日本ならありとあらゆる細かいことを知っている専門家があちこちにいて詳細なチェックを受けざるを得ない。ところが、アメリカにいると誰も日本のことなんか知らないから、どんな適当なことでも言える、というわけでもないでしょうが。
 
この本で私が一番日米の違いを感じたのは、彼女のクラスで雇うTAの人数です。何せ500人登録者がいれば10人はTAが付くのがアメリカですから。
 
これに対して日本ではどんなにクラスサイズが大きくてもせいぜい一人。しかも、TAのやれることには大きな制限が付いていて、せっかく雇っても使いづらい。
 
思うに、教授というのはコンテンツの制作に集中すべきと思うのです。日本では、クラスの規模にかかわらず、学生の指導や評価に先生が時間を取られ過ぎる。
 
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<「若き日本人女性の斬新な講義にハーバードが熱狂した!」との宣伝文句で話題の新書『ハーバード白熱日本史教室』(新潮新書)が発売2か月で7.5万部と、歴史関係書籍では異例のベストセラーとなっている。
 著者は、1980年生まれという若さで、ハーバード大学で米国人学生らを相手に日本史を教えていた北川智子氏だ。彼女の授業が話題を呼んだのは、「Lady Samurai」なる歴史概念が注目を集めたからだ。
 北川氏は、「サムライが中心で女性がその影という状況こそが見直されるべき」と考え、「Lady Samurai=戦わずに、かつ陰で大いに活躍する女性たち」にスポットを当てた。とくに戦国大名の妻は、「ペア・ルーラー(夫婦統治者)」としてサムライと同等に扱われたという。
 だが、こうした歴史認識について、日本史の専門家からは批判が集まっている。静岡大学小和田哲男・名誉教授(戦国時代史)はいう。
「著書で取り上げている豊臣秀吉の妻・北政所(ねね)や前田利家の妻・まつなどは、殿に進言するなどしていたが、彼女たちは特殊な存在。だから戦国大名の妻をすべて『Lady Samurai』と括るのは無理がある。また北川氏は、秀吉の養子だった秀次が切腹した際、側室たちも連座で斬首されたことを『サムライらしい最期』と述べていますが、サムライとして誇りある死に方は切腹。斬首では罪人と同じですよ。
 正しい歴史認識を踏まえずに学生に教えているのはどうなのか。フジヤマゲイシャレベルの間違った概念が広まって、日本の歴史学者たちは困惑しています」
週刊ポスト2012年8月3日号>