財政政策が有効である場合

日銀が金利一定政策を取ればクラウディング・アウトは起こらない、という話。

為替レートへの影響を考えれば、単純なマンデル=フレミング・モデルでも、財政政策だけやれば国内金利が上がり資本流入して円高になってしまい、当初の需要増が相殺されてしまうのですが、そもそも、日銀が当初の金利上昇が起こらないように金融緩和すれば財政政策はそのまま有効、というのは、ごくあたりまえの話です。

こういうあたりまえのことがあまり指摘されず、財政政策は無効、となんとなく思われているのは、どうしてでしょうね。

*********************************************************

http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/23987188.htmlLM

<財政政策の効果がクラウディングアウトで減殺されるかもしれないというのは,IS-LMモデルでよく知られた話であるが,財政政策が発動された場合,金融政策がどう反応するかを考えてみると,不都合な話である。財政政策によって金利の上昇圧力がかかるときに,貨幣供給が変化しないように,中央銀行金利を引き上げるだろうか。金利を上げると,投資が減少して,所得も減少する。財政政策が発動されるのは,政府が景気刺激を目指しているときなのに,なぜ中央銀行がその足を引っ張ることをするのか。
 LM曲線ではなく,金利を一定にする金融政策を前提に考えると,このようなクラウディングアウトは起こらない。それによって,財政政策の効果が最大限発揮できるのだから,政府と中央銀行の協力関係としては,自然な姿である。
 貨幣供給一定と金利一定の違いは,財政政策の効果に大きな違いをもたらす。財政政策が動いて金融政策が動かない状態を考えるときに,「金融政策が動かない」とはどういうことか,が非常に重要であるが,あまり感心をもたれず,なかば放置されてきた。その理由は,過去30年ほど(少なくとも米国では)財政政策が積極的に用いられなかったので,IS-LMモデルの有用性を損ねる事態と認識されなかったのかもしれない。しかし,世界同時不況のなかで,各国が財政政策を発動する状況では,この問題は真剣な検討に値する。>