日銀の国債引き受けと実質金利

さんざん言っているように、マネタリストの枠組みで考えれば、低金利はむしろ金融引き締めの証拠であり、名目金利が上がってこそ金融緩和、ということになります。

http://blogs.yahoo.co.jp/mazepparrigo/30300622.html

松尾匡といえば、同じくリフレ派論客ですが、次のように書く限り、彼もまたずいぶんマネタリストに近いところにいます。

もっとも、大きな違いがあります。リフレ派は、名目金利よりも期待インフレ率の方が上昇が速いから、実質金利は低下して投資や経済活動が活発化すると考えますが、マネタリストは、実質金利が上がるか下がるかはわからない、と答えるでしょう。

リフレ派や小泉残党の上げ潮派、「デフレ脱却議員連盟」が間違っているのは、デフレ脱却してインフレ率が上昇するのに、名目金利は日銀によって長期的に低く保たれるはずだと考えているところです。

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http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__110411.html

<実際、真島さんが4月4日のブログ記事「復興国債の日銀引き受け」で作ってくださっているグラフを見ればわかるように、国債の乗換のための日銀引き受けが増える(03年から05年)と、名目利子率は上がり、減る(06年から08年)と下がる傾向があるようにも見えます。
 しかし、物価連動国債の利回りを見たら、下記のとおり、それとは逆の動きになっています。国債乗換の日銀引き受けが増えた時期には下がり、減っている時期には上がっています。

物価連動国債の利回りは、将来の物価上昇の影響を除いた実質利子率にあたります。要するに、国債引き受けの増大で名目利子率が上がっているように見えるのは、ただ人々が将来の物価上昇を織り込んだためであって、実質利子率が上がっているわけではなかった。むしろはっきりと下がっていたわけです。
 現代のリフレ論が主張しているのは、将来のインフレを人々に予想してもらうことによって、実質利子率を下げ、そのことで設備投資需要や住宅建設需要や耐久消費財需要などを引き起こそうとするものです。国債の日銀引き受けによって名目利子率が上昇したならば、それはこのもくろみどおりにことが進んでいるということを意味します。「量的緩和しても物価上がらなかったじゃないか」というリフレ論批判がありましたけど、現実の物価がすぐに上がらなかったとしても、人々の予想インフレが上がればいいわけで、実際以前一度まさにその通りになったというわけです。

 そして実質利子率が下がるということは、名目利子率の上昇よりもインフレの上昇の方が高いということ。ということは、名目的な利払いの増加額よりも、名目的な税収の増加額の方が上回るので、政府は民間に対しても借金を返しやすくなります。>