宇治市が生活保護申請で誓約書

これ、こういう役所のやり方が批判されるのはもっとも、と思いつつ、誓約書なんか取らずに、支給条件を満たさない生活状態が見つかった場合にはいつでも、役所の裁量で打ち切ることができる、という運用ならよいのか、という問題もあると思いますね。

おそらく、こういう誓約書なんかなくても、稼得能力のある男性と同居している母子に支給することは不適切という点において、ほとんどの国民は同意するでしょう。

一方、子が非嫡出で、父親が時々通ってくるという程度ならどうか、というのは微妙です。どの程度父親の経済力をあてにできるか、という問題がありますからね。

そういう支給条件の明確化の下で、あらかじめ誓約書を取る場合の方が、取らない場合より悪い、という考え方は、無条件に正しいのでしょうか。

悪いのは誓約させることで、そういう条件を書いた紙をあらかじめ渡すなら許されるのか。

適正化と言ったって、職員の裁量に任せていて、何か問題が起きたら処分、というのはあんまりではないですか。

橋下も、君が代ばかりやっていて、こういうことで支給条件を明確化する条例を作る努力をしないのならば、いつまでたっても生活保護の適正化なんてできないと思いますけれど。

***************************************************

http://kyoto-np.co.jp/top/article/20120313000014

京都府宇治市生活保護の申請者に対し、母子世帯には異性と生活することを禁じたり、妊娠出産した場合は生活保護打ち切りを強いる誓約書に、署名させていたことが、12日分かった。市は不適切な内容であることを認め、関係者に謝罪するとした。生活保護制度に詳しい弁護士は「生活の自己決定権に不当に踏み込んでおり、人間らしい生活を奪う人権侵害」と批判している。

■私生活に踏み込む

 市によると、誓約書は3月、相談にきた女性に対し、生活支援課の30代の男性ケースワーカーが署名を要求した。約束を守れないと保護打ち切りの判断を担当者に一任するとの趣旨で、「生活保護費削減のため、子供の養育費を獲得することを誓います」などと私生活に踏み込んだ約束を強いる内容。

 再支給や治療費について「認められない」との誤った説明を確認させたり、市が相談記録を他機関に提出することを強いているほか、外国籍の人らに「日本語を話せないのは自己責任。日本語が分からないから仕事が見つからないなどの言い逃れは認められない」との偏見のある記載もある。

 市によると、誓約書は男性ケースワーカーが個人的に作成し、署名させたケースは少なくとも今年2件確認できたという。

 「反貧困ネットワーク京都」事務局長の舟木浩弁護士は「行政が保護廃止をちらつかせて脅し、生存権を侵害するひどい内容。生活保護の利用者を厄介者と決めつける蔑視がある」と話している。

 生活保護法の実施要領には「申請権の侵害を疑われるような行為は慎むこと」と定められている。

 西村公男宇治市生活支援課長は「不適切な内容で、誓約書に効力はない。関係者に謝罪するとともに、職員には人権尊重と市民の気持ちに配慮した業務徹底を指導したい」と話している。>