値上げできない電力会社

値上げにいちいち「国民の理解」を求めるのはおかしい、という話を以前紹介しましたけれど、

http://blogs.yahoo.co.jp/mazepparrigo/36367377.html

テレビでは相変わらず、原発再稼働しなくても値上げしなくても、電力自由化すれば原油高のコスト増を吸収し、ことによったら値下げさえありうる、などという説を垂れ流している。

なおまずいことに、当の電力会社が「値上げによって需要抑制をはかることは国民の理解が得られないから、夏場の電力不足には再び計画停電で対応する」などと言っていた。

電力会社の社員も、ここまで叩かれればやる気をなくして、ふてくされているんだな、ということがよくわかりました。

まあ、計画停電というのはストレスが大きいから、さすがの国民も音をあげて、原発再稼働に賛成するだろうという読みかもしれません。

脱原発する早道は、火力発電によるコスト増を電力料金に転嫁して需要抑制して、ピーク時でも停電しない体制を作ることなんですけれどね。

今の日本の公共料金の決め方は、社会主義国よりも悪いですよ。

電力自由化発送電分離にしても、法案や副作用回避対策の検討に膨大な準備時間がかかる仕事です。少なくとも、NTT民営化や郵政民営化と同程度の政治的エネルギーが要る話だ。

それを短期的な需給調整の話に持ち出すいうのは、要は「国民の理解のない値上げはするな」と言っているのと同じことです。

原発事故による避難区域について、「最初、20キロ圏から退避、と決めたのに、後から放射能を測定してから範囲を拡大したので、国民が政府を信用しなくなった。最初からもっと広い範囲を避難地域にして、後から縮小すれば信用されたはずだ」などという人がいます。

でも、こんなのは絵空事です。

避難区域から避難する場合、かかったコストは政府または東電によって補償されます。つまり、いずれにしろ、避難しなかった人が補償するんです。そのお金を出す気があるならいいけれども、そんな気もないのにそういうこと言うのは偽善としか言いようがありません。

「政府への不信」などというのは、ほとんど言いがかりのようなものです。

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http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/6b651b67d976da22a315624866d24519

<結局のところ民間企業である金融機関が融資の是非を判断する以上、収支改善の見込みがあるかどうかは当然ながら問われます。このまま火力発電所をフル稼働させて赤字を続けるのであれば、銀行も二の足を踏むわけです。そこで原発停止や廃炉を訴える人が勝手だなと思えるのは、それにともなう負担を他人事としか考えていないように見える点です。全原発停止なら電力不足に伴い産業も市民生活も大きなリスクを負いますし、電力会社は大赤字が続くこと必至です。だからといって「発電すればするほど損になるだけなので、もう廃業します」とケツをまくるわけにも行きません。そうなると、誰かが赤字を埋めなければならなくなります。原発再稼働や値上げで収支改善の見込みがあるなら、民間の金融機関が動くでしょう。しかし、原発が使えない、値上げもできないとなれば赤字からの回復は見込めない、銀行も慈善事業ではないですから、融資するわけにもいかなくなります。そうなってしまえば税金で穴埋めするほかありませんが、公的資金の投入に反対している人はしばしば、原発の再稼働にも電気料金の引き上げにも反対してはいないでしょうか。それは両立し得ない、原発に反対するなら、それに伴うコストは自らが負わねばならないことを意識してもらいたいものです。それができないなら、単に電力会社憎しで我儘を言っているだけと変わりません。>