高速乗合バスの方が危険!?

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これは興味深いコメント。

テレビでは「高速ツアーバスの危険な実態」キャンペーンですが、事実はどうなんでしょう。

最近、重大な自動車事故が相次ぎましたが、運転者が死亡とか、未成年の無謀な無免許運転とか、マスコミ的に叩きづらかったのに対し、こちらは、薄利多売、資本力なしとはいえ、一応、責任を問える会社ではあるので、テレビ的にキャンペーンが張りやすいのかもしれません。

乗り合いバスの方が貸し切りバスより走行距離当たりの重大事故件数が多い、というのは、感覚的には不思議です。

おそらく、「貸し切りバス」というカテゴリーには、文字通りツアー団体とともに最初から最後まで移動するバスが含まれていて、それが大きな割合を占めているのでしょう。「貸し切りバスとい形式だが実態としては高速路線バス」というカテゴリーを別に立てれば、確かに危険ということになりそうな気がする。

文字通りツアー団体と一緒に移動するバスの場合、昼間の移動が多く、運転手には、客とほぼ同じ時間の睡眠時間が与えられるでしょうから、それほど危険ではないでしょう。運転手の体調による裁量も可能だ。

規制緩和の結果として、実態としては高速路線バスなのに、貸し切りバスという形式で運航するものが増えた、というのが問題ではないか。

これは零細なバス運行会社が悪いというだけでなく、高速路線バスを運行する大手(JRとか名鉄とか近鉄とか西鉄とか)が、コストをかけて作ったバス停やターミナルをよその会社に使われたくない、という事情もあるかもしれません。

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http://blogos.com/discussion/2012-04-29/busaccident/

<事実はきちんと調べてみるべきものだ。平成12年から21年までの1億走行キロ当たり死者数のデータによると、貸切バスは、乗合バス、ハイヤー・タクシー、トラックと同様、減少傾向にある。(下記のURLの報告書16ページ)。乗務員に起因する1億走行キロ当たり重大事故発生件数は、貸切バスの場合、平成16年以降21年まで減少傾向(同22ページ)、この数値で比較すると、乗合バスの方がむしろ危険。
乗合、貸切合算のバス全体でみた運転者の健康状態が原因で発生した事故件数(重大事故以外のものも含む)は、平成21年で41件。バス全体の重大事故発生件数が同年で983件。
ま、こうしたデータで比較すると、貸切バスの危険度が近年高まっているとは思えないね。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/subcontents/data/statistics52.pdf