東大「秋入学」移行への疑問

ハハハ、これはなかなか痛烈。

東大の姿勢には、「天下の東大様の方針に、おまいら下々も国も企業も合わせろ」という意識が見え見えですね。

まず、でかい学生寮を建てろ、というのにも激しく同意。アメリカの名門大学には、10階建て以上の立派な学生寮が敷地内に何棟も建っていて、留学生には通学のための交通費がほとんどかからないように配慮されている。日本のようにやたらと公共交通料金が高い国ではなおさら必要でしょう。

最近の傾向として、海外の研究者を格安で泊める宿舎を熱心に建設する風潮が旧帝大系にはあるようだが、本末転倒ではないか。こういうものを官の感覚で運営してもすぐに汚く不便になることは明らか。汚くて不便な所に住むのは学生であって、世界的研究者ではないだろう。大学の研究費でホテルの部屋を借り上げれば済むこと。大学所有の宿泊施設は学生のために作るべきである。

学生寮を嫌がるのは全共闘のトラウマか。せっかく駒場寮とか全部つぶして学生との面倒くさい交渉をなくしたのに、また同じことをしたくないということか。しかし、全共闘の頃に東大の教員だった人はもうとっくにすべて引退しているはずだ。

国立トップなんだから、東大に入りたくてたまらない日本人学生のことをもっと考えろ、という指摘ももっともだ。コメント欄にあるように、

<今の企業と同じで、育てるのに手間ヒマかかって能力的にぱっとしない日本人の若者より、即戦力となりうる優秀な外国人の若者の方が、大学にとっては魅力的なのでしょうかね。なんだか悲しいです。>

東大の先生の感覚は企業みたいになっているんでしょう。しかし、国から莫大なお金をもらっているんだから、もう少し真剣に日本国民のことを考えないと。

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http://d.hatena.ne.jp/souheki1009/20120120/p1

<そして何より、この「秋入学」の制度は、「半年」であれ「1年」であれ貴重な20代前半の時間と引き換えにするほど価値があるものなのでしょうか?この懸念は他の国家試験や大学院入試でも当てはまります。他大学に比べれば大学での勉強時間が半年短くてもそこはそれ東大生のことですから、他大学の4月入学の学生と一緒に試験を受験し合格するのは容易なことでしょうが、働き始める時期や大学院入学には「大学卒業資格」が要求されるのですからどうなるのでしょう?法科大学院に進みたい東大生は、秋始まりの年度の4回生になるかならないかで受験して合格しても次の年の4月から入学することはできませんよね?医師国家試験は?他大学の大学院は?等々、ド素人の私ですらこれだけ疑問が出てくるのですが、今回「秋入学」の提言を出した賢明なる「入学時期の在り方に関する懇談会」ははそれも折り込み済みなのでしょうか?もしくは、

「東大が秋入学に移行すれば、全ての大学、大学院、国家試験、官庁採用もそれに追随してくれる」

と考えているのかもしれませんが。

(中略)

そもそも海外からの留学生を呼び込むためならば、この「秋入学」という方法はどうもピントがズレているとしか思えません。今まで4月入学の制度の範囲でしかるべき努力をしてきたのでしょうか?

東京大学」のトップページと 「Harvard University 」 や 「Oxford University 」のトップページを見比べると、その格差たるや歴然です、これだけでもう世界のトップ大学に相当な周回遅れ、って感じです。今世界のどこの国の学生であっても、留学を考えている大学を先ずネットで調べてみるのではないでしょうか?東大が日本トップの大学を自負するののならば、このしょぼいホームページは国辱ものです。っていうか、東大こそが頑張るべきであり、頑張ってほしいのですけどね。

そして何より留学生を呼び込むことに関して、決定的に東大に欠けているのは「Housing」つまり留学生の住む場所に関する大学のケアではないでしょうか?しょぼい東大サイトの中で何故かここだけ鮮やかなブルーが基調の英語サイトに留学生に対して住まいの説明をしているページがあるのですが*2、「shikikin」「reikin」「chuukai tesuuryoo」(ローマ字はサイトの表記そのまま)などと、外国人には理解できない日本の賃貸住宅の慣習を説明するヒマがあったら、学内にどっか~んと世界レベルの学生寮を建てるぐらいしてみてはどうでしょうか。この「Housing」に関して、前述のHarvardやOxfordのそれと比べてみると、どちらも大学内もしくは大学にごく近い場所に、世界最高レベルの学生が住んで勉強するのに相応しい住居を提供しているのに対して、東大のこのしょぼさではこれだけで世界各地の大学生はそっぽを向いてしまうのではないでしょうか、アカデミックな部分以前に。いえいえその前に、

福島第一原発250km圏内にある東京での学生生活が安全である。」

というアピールが大事でしょう、

「直ちに健康に被害はない」

と断言してくれる御用学者の先生方には事欠かないでしょうし。

というか、この唐突で思いつきのような(←こう非難されて退陣した首相が昨年いましたっけ?)「秋入学」の提案は、見方を変えれば、

国内の受験生を見限って、海外からの留学生の方に目が向いている

とも言えるのですね。課題満載の(予算も莫大にのぼる)留学生招致よりも、先ずは、この過酷な環境(3.11後の放射能汚染、国家財政の危機、先の見えない不況)の中で、更に過酷な受験戦争を戦って「東大で勉強したい」と頑張っている国内の受験生のことを日本のトップ大学である東大には先ず第一に考えてほしいものです。きらびやかなキャリアを築いている卒業生から寄付をじゃんじゃん募って、奨学金制度をもっともっと充実させるとか、おエラい方々の「自分たちが学生の頃は、四畳半一間で風呂なしトイレ共同の下宿だった」という古き良き高度成長期の感覚ではなく、21世紀に東大で勉強するに相応しい学生寮を構内に作るとか、いくらでもやることはあると思うのですけどね。>