賃金が下方伸縮的な国における金融政策

韓リフ経由です。

ティーブン・D・ウィリアムソン『マクロ経済学』の日本語訳が出ているそうです。

賃金の下方硬直性がある場合、緩やかなインフレがよいそうですが、日本のように賃金が下方伸縮的な国では、やはりデフレがよろしい、ってことになるんでない?

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http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20121104

<また最適金融政策としてのフリードマンルールの扱いも非常に興味深く読みました。一応、どこの中央銀行も意図的にデフレを起こしたことはない、と本書には書いてありますが(笑)、そうともいえないサンプルが身近にあるような気がしています。

 フリードマンルールがなぜ実施されていないか。その理由を本書では、1)緩やかなインフレの厚生損失が微々たるもの、2)大恐慌期やいまの日本のような停滞を反映(=流動性トラップ)しているから、です。ちなみに後者については、ウィリアムソンは、「貨幣を印刷して移転支払を通じて貨幣供給を増やせばトラップからの脱出は可能である」と書いています。ここでいう「移転支払」の代表的な手法は、ヘリコプターマネー的なもの(社会的な給付、減税など)ですね。

 ちなみに前者の1)についてですが、硬直性を導入したモデルでは、フリードマンルールではなく、緩やかなインフレがいい、という論文も出てきています。

Monetary policy when wages are downwardly rigid: Friedman meets tobin

http://gcoe.ier.hit-u.ac.jp/JEDC2010/doc/4-1.pdf

なお日銀の白塚氏のコメントも参照のこと(日銀の思想方向がよくわかる)

http://gcoe.ier.hit-u.ac.jp/JEDC2010/doc/4-1slidesD.pdf